“腰パン”国母「悔いなし」8位“スタイル”貫いた
決勝2本目も不調に終わりゴーグルを投げる国母
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スノーボードの男子ハーフパイプ(HP)が17日(日本時間18日)に行われ、服装の乱れや会見の態度が問題となった国母和宏(21=東海大)は決勝で35・7点にとどまり、8位入賞に終わった。攻めのスタイルを貫き、大技の「ダブルコーク」を繰り出したが、2回とも着地に失敗した。ショーン・ホワイト(23=米国)が圧倒的な強さを見せ、48・4点で五輪2連覇。昨季世界選手権覇者の青野令(19=松山大)は9位だった。
得点が表示される前にヘルメットを宙高く放り投げ、ゴーグルをスタンドへ投げ込んだ。決勝2回目、最後のラン。大きな弧を描いたグラブ、得意のマックツイストと軽快に決めた国母が最後に選んだのが、回転軸を変えながら3回転する「ダブルコーク」だった。しかし、着地で手をつき、1回目と同じ転倒扱い。「まあ、決まっていればっつったらどうしようもないんで」とウソぶいたが、スノーボード代表の萩原文和監督は「あれが決まっていれば、結果は違った」と天を仰いだ。
「えーと、まあいろいろあったっすけど、最後まで応援してくれた人に本当に感謝しているし、自分のスタイルと思いは最後まで曲げなかったんで、それは本当にいいことだと思ってます」
“腰パン”姿など服装の乱れに端を発した騒動で大きな注目を浴びた。だが、この日の21歳は影響を感じさせないほど競技に集中していた。予選2組は2回とも40点台で2位通過。上位3人だけの決勝進出を早々と決めた。
秘策もあった。予選で封印したダブルコークの解禁。昨夏以降、世界に広まった新技に「ダサい」と悪態をつきながら、日本勢で最も習得に熱心だったのは国母だ。「好きじゃないけど必要ならやる」。最も大切だったのは、11歳で資格を得た天才プロとしてのプライドと、トリノ五輪予選落ちの雪辱。1回目に着地に失敗し唇を切っても、逃げなかった。2回目の採点直後、観客席から起きた低い点数に対するブーイングと「カ〜ズ!カ〜ズ!」のコールは、目の肥えたファンをうならせたことの証明だった。
記者団の前をいったん通り過ぎ、呼び戻されてようやく取材に応じた。取材に応じながら、切れた唇を洗うように何度も水を吐いた。近寄った橋本聖子団長に気づかず、右手を無視した。「滑りのスタイルも出せたし、そのほかのことについても全く悔いはないです」と無表情に言い放った姿は、最後まで“悪童”そのもの。だが、いつか気がつく時が来る。本当の強さとは何か、本当の自分らしさとは何か。その日こそ、天才ボーダーが本物のアスリートへと昇華する日になる。
◆国母騒動の経過
▼発端 日本時間9日、バンクーバーに向け成田空港を出発する際、日本選手団公式服装のネクタイを緩め、シャツのすそは丸出し、ズボンを腰まで下げたスタイルで登場した。
▼抗議殺到 現地9日、出発時と同じスタイルでバンクーバー入り。出発の様子を報道で知った人々から全日本スキー連盟(SAJ)に「だらしない」という抗議電話がかかり、萩原文和スノーボード監督が「いいことであるわけがない!注意する」と断言。
▼入村式自粛 10日に選手村で行われた入村式への出席を自粛。萩原監督は同行したコーチ3人にも厳重注意を与え、日本オリンピック委員会(JOC)幹部に報告して謝罪。
▼問題会見 入村式後に行われた公式会見に出席。服装について質問されると「チッ、うるせーな」とつぶやき「反省してま〜す」と笑顔。あまりの態度の悪さに、JOCとSAJには抗議電話やメールが殺到。
▼開会式欠席へ 11日、SAJスノーボード担当理事の林辰男フリースタイルスキー監督が12日の開会式を欠席させると表明。
▼温情裁定 12日の開会式前に日本選手団の橋本聖子団長とともに謝罪会見。SAJからは出場辞退の申し入れがあったものの、橋本団長が今後の責任を取ると宣言し、予定通り出場が決定。
◆国母 和宏(こくぼ・かずひろ)1988年(昭63)8月16日、北海道石狩市生まれの21歳。石狩花川中―登別大谷高―東海大。4歳でスノーボードを始め、11歳でプロ資格を取得。03年USオープンで日本人初の2位に入り、注目される。05年にはW杯で2勝したが、06年トリノ五輪は予選敗退の23位と惨敗。07年世界選手権2位。1メートル64、54キロ。
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