米中為替戦争、貿易戦争に拡大か(下)

 米政府が中国に対し、「為替操作国指定」というカードを切り出そうとしている理由は、両国間の貿易不均衡にある。世界的な金融危機で打撃を受けた米国は、10%に達する高い失業率と過去最大(1兆6000億ドル)の財政赤字に苦しんでいる。米国は中国政府が故意に人民元の価値を抑制し、自国製品の輸出競争力を高めたことで、米国の対中貿易赤字が拡大し、米国経済の悪化を招いたと主張している。米国の昨年の対中貿易赤字は2268億ドルで、2000年(838億ドル)の3倍に膨れ上がった。米国は中国が人民元を切り上げれば、中国製品の価格競争力が低下し、米国の輸出が増え、貿易赤字が縮小するとみている。米国の輸出が増えれば、工場の稼働率が高まり、雇用機会が増大し、米国経済が回復軌道に乗るというシナリオだ。

人民元は緩やかに切り上げか

 中国は人民元を急激に切り上げた場合、中国経済が深刻な打撃を受けるとして反発している。1985年のプラザ合意では、米国など主要国が日本に圧力をかけ、1ドル=240円だった円相場を2年間で同160円まで引き上げた。中国政府は、日本の経済成長が円高で頭打ちとなり、財政支出と利下げで低成長局面を迎えたと判断している。

 こうした中、専門家は中国が人民元の小幅な切り上げに応じる可能性が高いとみている。人民元を切り上げれば、輸入品の価格が低下し、インフレ圧力を軽減することができるからだ。投資銀行のゴールドマン・サックスは、「中国が近く人民元を一気に5%切り上げる可能性がある」と予測している。

鄭恵全(チョン・ヘジョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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