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<クラスター爆弾>「非人道的な兵器」で国際社会結束へ

2月17日18時27分配信 毎日新聞

 今年8月の発効が決まったクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)のお手本は、非政府組織(NGO)やカナダなど有志国主導で99年に発効させた対人地雷禁止条約(オタワ条約)だ。ただ、地雷は当時、「時代遅れ」(自衛隊幹部)とされていた兵器で、アフガニスタン戦争やイラク戦争で米軍が多用した「現役」兵器のクラスター爆弾と違いは大きい。オスロ条約は軍事的に重要度の高い兵器でも非人道的なら市民の力で禁止できるという「お手本を超える」新たな実績を残した。

 スイス外務省高官は「近代的軍隊の戦略に対人地雷はもう必要なくなっている」と話す。元々、重要度が落ちていたところに「非人道的」という非難が高まってオタワ条約ができた。それを機に各国軍が地雷離れに踏み切ったという構図だ。

 こうした重要度の低さも手伝い、オタワ条約発効以来、条約非加盟国の間でも対人地雷の使用は大きく減った。NGO・地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)によると、08〜09年に対人地雷を使用したのはロシアとミャンマーだけだ。

 一方、クラスター爆弾は、米国防総省高官が「米軍火力の半分以上を占める」と話す主力兵器だ。大規模な軍事侵攻では不可欠の兵器と考えられている。だからこそ、条約非加盟の米国はクラスター爆弾禁止条約を議論した軍縮交渉「オスロ・プロセス」の動きに神経をとがらせ、参加国に圧力をかけ続けた。

 しかし、オスロ・プロセスの参加国は100カ国を超え、多数派となった。日英豪独仏といった米国の主要な同盟国もオスロ条約に署名。米国は、条約に加盟しない国との共同軍事作戦への参加を加盟国に認める条項が条約に入ったことで、条約妨害を断念した。さらに米国は、08年7月、「2018年以降は不発率1%以上のクラスター爆弾を使わない」という新方針発表に追い込まれた。

 「非人道的な兵器はなくす」という、明確で共鳴しやすい目標を提示し、多数の国を集めたことで、オスロ条約は実態的にオタワ条約以上の成果を成し遂げたと言える。【澤田克己、斎藤義彦】

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最終更新:2月17日23時38分

毎日新聞

 

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