「バンクーバー五輪・男子ハーフパイプ決勝」(17日)
服装問題で批判を浴びた国母和宏(21)=東海大=が、最後まで“オレ流”を貫いた。02年ソルトレークシティー大会の中井孝治(5位)以来の8位入賞を果たしたものの、競技後にゴーグルを投げ飛ばす醜態。報道陣には、口に含んだ水を吐きながら応対し、挑発もするなど、最後までわが道を突っ走った。09年世界選手権金メダルの青野令(19)=松山大=は9位。工藤洸平(シーズ)は14位、村上大輔(クルーズ)は27位だった。ショーン・ホワイト(米国)が五輪2連覇を達成した。
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最後の最後まで“国母劇場”だった。圧倒的な高さを誇るエアで、予選2組2位で決勝に進んだ。メダルを懸けて臨んだ決勝1回目。最終エアの大技ダブルコークで着地に失敗し、大転倒の末、顔面を強打した。上唇に裂傷を負いながら臨んだ2回目も、再びダブルコークに挑戦。着地が乱れて手をついてしまい、結果は8位入賞。低い得点にブーイングが出るほど、観客を魅了した。
もっとも、試合後の態度は褒められたものではなかった。決勝2回目終了後、得点が出る前に、不満げに自らのゴーグルを投げ飛ばした。その後も、先に引き揚げた青野のインタビュー中、待機するように指示した日本オリンピック委員会の広報の指示を無視し、足早に取材ゾーンを後にしようとした。
追いかけてきた報道陣の質問には「あ?あ?あ?」と挑発するように3回も聞き返し、一度は完全に取材ゾーンを出た。関係者にうながされ、インタビューに応じたかと思えば、口をゆすいだ水を上向きに吹き出し応対するなど、やりたい放題だった。
「いろいろあったけど、最後まで応援してくれた人には感謝してる」と殊勝に話した一方で、騒動の影響については「そんなのあったら、こんなことやってない。スタイルを曲げなかったのは良かった」ときっぱり。スタイルとは?との問いに「言葉では説明できない。スノーボードを分かっている人にしか分からない」と禅問答を繰り広げた。本当のボーダーの姿は見せられた?との問いには、満足げに2度うなずいた。
次の五輪については「この後に続く本当のスノーボーダーが、五輪を目指してくれない限り、またオレが出るつもりですよ」と不敵に笑った。不器用にもほどがあるボーダーは、良くも悪くもバンクーバーの地に強烈なインパクトを残した。