【社説】「パルチザン教育」元教師に無罪判決を下した判事

 2005年に中学生110人をパルチザン(共産ゲリラ)追悼祭に連れて行き、「未転向長期囚のおじいさんは立派な方だ」という手紙を朗読させ、パルチザン出身の未転向長期囚3人を学校に招き、生徒と座談会を開いた全国教職員労働組合(全教組)所属の元中学校教諭に対し、全州地裁の陳賢敏(チン・ヒョンミン)裁判長は17日、無罪を言い渡した。陳裁判長は「教諭の行為で国家の存立や安全、自由民主的な基本秩序に実質的な害悪が及ぶ明確な危険があるとは認められない」と判決理由を説明した。

 道徳を担当していた教諭の教え子は、インターネット上に「韓国が米国に振り回されているのに対し、北朝鮮が米国のスパイ船プエブロ号を大同江の川岸に展示しても、米国は手出しできない。韓国は北朝鮮に対し恥じ、学ばなけれればならない」だとか、「韓国は米国の属国」「(イラク戦争を起こした)ブッシュが変な病気にでもかかればと思っていた」などと書き込んでいた。

 教諭の自宅からは北朝鮮軍の革命歌をはじめ、「偉大な金正日(キム・ジョンイル)将軍様が創造に関して行った名言」「主体(チュチェ)思想は人類の進歩的思想を継承、発展させた思想」といった北朝鮮で書かれた文章が見つかった。教諭は学生がインターネット上で「ブッシュが当選すれば南北戦争は避けられないのか」と質問してきたのに対し、米国による韓半島(朝鮮半島)での戦争の危険性と北朝鮮による核保有の正当性を説明したという。学校を訪れた未転向長期囚から「韓国の権力者は民族の裏切り者だった」などという説明を聞いた生徒らは「教科書に書かれていない真実の歴史に関する説明を聞き、込み上げる大きな感動をどうすることもできなかった」という文章を残した。

 暴力教師というのはこういう人物のことだ。教師の言葉を批判的に選別する能力を持たない子供たちに世の中を逆さに見るように仕向けた教諭こそ暴力教師なのだ。教師がこういう屈折した考えを持っていることも驚くべきだが、その考えで幼い生徒らを洗脳してもよいのか。教諭に無罪を言い渡した36歳の判事は全教組が創立された1989年に高校に入学した世代だ。全教組がまいた種が20年後に若者の脳裏にどんな怪物を育てているのと思うと背筋が寒い。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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