【萬物相】繰り返される卒業式での全裸いじめ

 現在の40代から50代以上の年代であれば、卒業式といって思い出すのは中華料理屋だ。卒業式が終わると、保護者らは子供を連れて中華料理店に向かった。多くの卒業生が一度に集まる中華料理店は大混雑になった。一方で大盛りの酢豚を注文すれば、別のテーブルでも財布をはたいて大盛りの酢豚を注文した。中高生にとって卒業式の日は、普段はなかなか食べられない酢豚を思う存分食べられる日だった。

 あのころ、卒業式場から出てきた生徒たちは、誰もが手に花束を持っていた。花束といっても高価な生花ではなく、紙で作った造花だった。卒業証書を入れる長い筒には赤、青、黒で「祝・卒業」と刺繍が施されていた。卒業を祝う小物は素朴だが、卒業生や家族にとって、卒業の持つ意味を実感させるものだった。時には小麦粉を振りかけ、制服や帽子を破るような輩もいたが、決して多くはなかった。

 数日前、京畿道高陽市の男女中学生15人が裸で卒業を祝うという「卒業パン」の写真40枚以上がインターネットを通じて広まり、社会に衝撃が走った。卒業式を終えたばかりの白昼のマンション周辺で、塀のすぐ横に全裸で立たされ、小麦粉や卵を投げつけられながらじっとがまんするという写真だった。彼らは警察で、「先輩たちから“卒業パン”に出て来いというメールを受け取った。行かなければ後が怖いので、仕方なく行った」と証言しているという。

 釜山や清州でも、全裸で市内を走り周るよう強要され、海岸で暴れ回るという卒業イベントが繰り返された。済州島では先輩らが7人の女子中学生を港に連れ出し、制服や下着を破って半裸のまま海に突き落とした。幸い、女子中学生らは海女たちに助けられて無事だったという。

 「制服破り」は、朝鮮時代の国立大学といえる成均館の終了式で行われた「破青襟」儀式から由来するという説もある。儒学生らは王が下賜した杯を回し飲みしながら、君臣としての結束と同窓の友情を誓い合い、その印として制服を破ったという。小麦粉を振りかける行為は、日帝時代の黒い制服が、白衣民族の魂を押さえつけていることに反発して始まったという話や、小麦粉工場のセールスによるという話など、さまざまな説がある。最近は、小麦粉以外にもマヨネーズや酢、ケチャップ、唐辛子みそがかけられることもあれば、裸になるという光景まで登場した。最近の若者たちは、より刺激的で扇情的なものばかりを追い求めているようで、いささか心配になる。

金琅基(キム・ナムギ)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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