昨年8月の中学校の教科書採択の際、教育委員の参考用に東京都教育委員会が作成した教科書調査研究資料で、扶桑社版歴史教科書に記述のない22の用語や人名を、記述があるように扱っていたことがわかった。都教委のデータ転用ミスという。この資料などをもとに教育委員は9種類の教科書を比べ、都立校用に扶桑社版を採択した。都教委は「複数の資料に基づき採択した」として、やり直しはしない方針。
誤りがあったのは、教科書ごとに掲載した写真や年表の数などをまとめた資料のうち用語・人名の表。477の用語・人名を挙げたが、ナポレオン、中江兆民、内村鑑三、市川房枝ら12人の名前や、大嘗祭(だいじょうさい)、太陰暦など10の用語が掲載されていなかった。
都教委は「2005年の採択時に使った表のデータを転用したため誤った」と説明。同社版は都立の中高一貫校10校を含む31校・分教室向けに10〜11年度の教科書に採択された。(岡雄一郎)