ディープスペースは、「ソフトイマージDS」を九八年秋に導入し、プレイステーション2用のゲームソフトウエアに使用するムービーを始め、CM用の映像制作やプロモーション用のCGムービーの制作に使用している。(秋山謙一)
ディープスペース(大阪府箕面市、℡ 0727-27-5970)は、ゲーム内で使用するムービーをはじめCMやプロモーション用のムービーの制作用に、九八年秋に「SOFTIMAGE DS(ソフトイマージDS)」を導入した。 同社は、ソニー・コンピュータエンタテインメントとウーピーキャンプが共同出資で九八年五月に設立した会社だ。現在、プレイステーション2用のゲームソフトウエア(タイトル、発売時期未定)の開発をしている。 CGIディレクターでソフトイマージDSの作業を一人でしている高木康憲氏は、ソフトイマージDSに決めた理由を次のように話す。 「まず、ターンキーシステムのためハードウエアとソフトウエアの整合性がとれ安定して動作することです。ムービーに必要な素材の完成が夜間にずれこみ、しかも翌日までにムービー編集を仕上げなくてはならないような状況になることもありますが、システム環境のトラブルという不安が全くないために、安心してムービー制作に取り組んでいくことができるようになりました」 「モデリングには、ソフトイマージ3Dをはじめ3DスタジオMAXやMayaなど、多くの3Dソフトを利用しています。ソフトイマージDSは、取り扱える3DCGファイルフォーマットの多さも決定理由のひとつですね。背景の画像に複数のCGモデルが入るような場合、シーンを一括してレンダリングするよりも別々にモデリングした上で、ノンリニア編集機を使用して3D空間上に配置して合成するほうが効率的で失敗も少なくなるんです。しかも一括してレンダリングするよりも、レンダリング時間が短くなります」 CGムービーは、CGレンダリングソフト上で制作するイメージがあり、ノンリニアの実写合成というイメージとはズレがある。確かにゲームで実写合成を取り入れることも増えてきているものの、高木氏は実写合成よりも実写に見間違うほどのCGを作りたいと語る。そんな高木氏が、CGムービーにノンリニアを使用したきっかけは、サウンド編集のしやすさと、遠近感を出すための被写界深度などエフェクトのしやすさにあるという。 高木氏は、CGにとってサウンドは非常に重要だと考えている。従来のウィンドウズNTベースのソフトウエアではパフォーマンスが悪く編集もしにくかったが、実際にソフトイマージDSを使用してみて合成や編集面と同様に、サウンド編集面でも十分に高速で使いやすかったと言う。 サウンド面では、いずれドルビーデジタルなどにも対応していかなくてはならないだろうと言うが、基本的な部分ではMPEG2圧縮を使用している。「ソフトイマージDSはMPEG2に変換する際に、リモート操作ができないので、ゲーム制作ではつらい部分があります。これが可能になれば更に使用感が高まるのに」と残念がった。 ソフトイマージDSの操作環境についても、「ペンタブレットは操作しづらい。ベースがウィンドウズNTなのですからインテリマウスも利用できます。実際に使用してみても、マウスとキーボードによる環境の方が扱いやすかった。アビッドには、ぜひともペンタブレットなしのシステム構成も検討してもらいたい」と不満をもらした。 昨年、アビッドが発表した次世代3DCGソフトウエアである「Sumatra(スマトラ)」が出荷されれば、さらに3Dモデリング環境とノンリニア環境を統一した開発環境が実現できる。 「統一環境が実現した時に、3Dモデルから生成した二次元の単なる画像としてではなく、シームレスに3Dデータとして扱えるようになることは、『本物のCG』を作れる環境が整うように感じている。そういう意味では、ソフトイマージDSはノンリニア環境としては最も可能性のあるマシンです。これからはCGの合成にもノンリニアが標準となっていくんでしょうね」(高木氏)これからの環境に期待をしている。
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