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2009年「10の最も深刻な人道的危機」

2010年2月12日

  • 国境なき医師団@世界の活動地

写真ソマリアのボサソにある避難民キャンプ写真ジャマーメ病院で治療を受ける栄養失調の子ども。2009年、この病院では毎月平均260人以上の栄養失調児が受け入れられた写真戦闘に巻き込まれて火傷を負った患者。MSFはジャマーメ病院で、2009年に4千人以上の患者を治療した写真ガルカイヨでMSFが開設した栄養治療センターで診察を待つ母親と子ども。2009年このセンターでは過去最多数の患者を受け入れた写真イエメン沿岸に船でたどり着いたソマリア人難民たち。生きて到着したあるソマリア人は「モガディシオに戻れば死ぬと分かっているから、選択の余地などありません」と語った

 国境なき医師団(MSF)は世界各地での援助活動を通じて、数多くの人道的危機を目撃しています。その多くは国際社会から注目されることなく、人々の関心から忘れ去られています。MSFはこうした危機的状況に光を当てるために、1998年から毎年「10の最も深刻な人道的危機」を発表しています。

 今回で12回目となる2009年のリストでは、国際社会からの資金援助の減額で治療が困難になっているHIV/エイズ、栄養失調、シャーガス病などの顧みられない病気や、紛争による襲撃で一般市民に十分な医療援助が行き届かないパキスタン、ソマリア、イエメン、スリランカ、アフガニスタン、コンゴ民主共和国、スーダンがリスト入りしました。今回は、98年からほぼ毎年リストに登場しているソマリアの人道的危機について紹介します。

――悪化をたどるソマリアの人道的危機――

 1991年から内戦が続くソマリアでは、2009年に暫定政府軍とイスラム系武装勢力間の戦闘がさらに激化し、住民は無差別な暴力の犠牲となり続けました。国連機関によると、2007年以降2万人以上が戦闘に巻き込まれて命を落としています。国内で避難民として暮らす人々は120万人に上り、2009年には戦闘により新たに20万人以上が家からの避難を余儀なくされました。昨年には新大統領が選出されましたが状況は一向に改善せず、ソマリアのこの危機的状況は「世界最悪の人道的危機」と呼ばれています。 無政府状態にあるソマリアでは公共の医療システムはほぼ崩壊状態にあり、この国の健康指標は世界最悪レベルとなっています。ソマリア人の平均寿命は47歳で、世界保健機関(WHO)によると5歳未満の子どもの5人に1人が急性の栄養失調に陥っています。栄養失調にくわえて、予防接種、妊産婦死亡率、基礎的な医療を受ける機会については、世界最低レベルにあります。慢性的な貧困に追い打ちをかけるように昨年この国を深刻な干ばつが襲い、既に壊滅的な状況にある人々の健康状態はさらに悪化しました。

 さらに、戦闘から逃れるために医療従事者の多くが国外へ避難しているため、非常に限られた医療スタッフだけでは数百万人におよぶ人々の膨大な医療ニーズに対応することはできません。ソマリアでは医療系の大学が開設されておらず、医師の数は国民10万人につきわずか4人しかいません。2009年12月には、ベナディール大学医学部の卒業式の最中に自爆攻撃が発生しました。この爆発で死亡した23人のほとんどが医師になるはずだった卒業生であり、この事件で最も弱い立場に置かれた人々に医療を提供するという多くの卒業生の希望が絶たれました。

 ソマリアのこの膨大な医療ニーズに対応するためには外部からの援助の提供が急務ですが、悪化をたどる治安状況により人道援助団体が国内で活動することは極めて困難です。人道援助従事者を対象にした襲撃や誘拐が相次ぎ、MSFも年々活動の縮小を余儀なくされています。MSFは1991年からソマリアで活動する数少ない団体の一つですが、2009年に急激に悪化した治安やスタッフの誘拐などを受けて、昨年中部と南部の計5カ所の診療所と首都モガディシオの病院4カ所の閉鎖を余儀なくされました。

 ソマリアの人道的危機は国内だけにとどまらず、暴力から逃れるため国外へと逃亡する人々も後を絶ちません。ソマリアから船でイエメンへと逃亡するソマリア人は年間数万人にのぼり、道中で多数の死傷者や行方不明者が発生しています。さらに、国境沿いに位置するケニア北部のダダーブ難民キャンプでは27万人のソマリア人が昨年新たに到着しました。MSFはこれらの地域でも人道援助を提供していますが、MSFが対応できるニーズは限られています。世界から忘れ去られているソマリアの人々に対して、さらなる援助が切実に求められています。

■ 緊急ニュース:ハイチ地震の緊急援助を開始 ■

現地時間1月12日午後、マグニチュード7.0の地震がハイチの首都ポルトープランスの南西約15Km地点を震源に発生しました。地震発生前より現地で活動を行っていた国境なき医師団(MSF)は、地震直後から緊急医療活動を開始、体制増強のために人員とテントなどの追加物資を現地に送り、被災者の支援にあたっています。

MSFのサイトにて、現地からの最新状況を随時更新しています。

詳細はこちら

★☆★ インフォメーション ★☆★

◎命を救うために、できることは何だろう◎

国境なき医師団(MSF)の援助活動は、民間の寄付に支えられています。救えるはずの命がこれ以上、失われないために。皆さまの支援をお待ちしています。詳細はこちらからご覧ください。

【いただいた寄付金でできること】

○3,000円で、子どもたちにはしかの予防接種を行うためのワクチン170人分を購入できます。

○5,000円で、20人のけがをした子どもに、感染から守るための抗生物質を用いた治療ができます。

○10,000円で、紛争などで、けがややけどを負った人の治療のために、医療用包帯を50セット用意できます。

○30,000円で、難民キャンプで病気やけがの基本的な治療を行うための医療キットを、1,200人に対して1カ月分、用意できます。

○80,000円で、500人分の飲用水を供給できるタンクのセットを購入できます。

■「1日50円キャンペーン」■

1日あたり50円、または任意の金額を、1カ月ごとに口座から振り替える継続的な寄付の方法です。安定した資金が確保できるため、緊急事態への迅速な対応や、より長期的な視野に立ったプログラムづくりを可能にする支援方法です。ぜひご参加ください。お申し込みはこちら

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