キャンベル米国務次官補に“説教”した小沢幹事長の思惑
2010年2月18日 週刊文春
東京地検特捜部との「最終戦争」を勝ち抜いた民主党の小沢一郎幹事長に、日本との関係悪化に悩む米国政府がラブコールを送っている。米軍普天間飛行場問題などの懸案を解決するには、政界最大の実力者の剛腕に期待するしかないからだ。「米国へは上院外交委員会の招待という形を検討し、ホワイトハウスでバイデン副大統領と会談。そこへオバマ大統領が立ち寄るという形で会談することまでは固まっています」と米政府筋は明かす。
計画を練ったのは、国務省で日本や中国など東アジアを担当するカート・キャンベル次官補だ。オバマ政権は昨年二月、ヒラリー・クリントン国務長官を日本に派遣した時から、当時はまだ野党の党首だった小沢氏と会談させるなど、パイプづくりに動いてきた。その後、ゴールデン・ウイーク中にも小沢氏が訪米し、クリントン国務長官と会談することが決まっていた。しかし、オバマ大統領との面会はセットできず、訪米は中止になった。
日米関係筋は「逆にいえば、小沢さんが大統領と会談できれば訪米する、という感触を米側は得た。今回の訪米計画は、一年がかりの構想なのです」と説明する。米国側から「小沢訪米」を持ちかけるのは、日米関係の悪化が政争の具になっているためだ。
「オバマ政権は支持率が下落し、中間選挙でも苦戦が予想されています。二年前の大統領選挙で共和党の副大統領候補になり、今も人気の高いサラ・ペイリン・アラスカ州前知事までが『日米関係がよくないのはオバマ政権の外交の失敗』と批判し始めました。セクシーでカリスマ性はあるが、外交政策はからきし駄目と評判のペイリン氏からも指摘されるほど、日本との関係悪化は米国では『オバマ政権のミス』という空気が広がっているのです」(全国紙ワシントン特派員)
かつて小沢氏は建設市場開放、電気通信交渉などで日本の市場開放を実現した実績があるだけに、米側の期待も高い。小沢氏は訪米を招請したキャンベル次官補に「ひとたび極東アジアで不安定な状況が生まれると、イラクやイラン、アフガニスタンの比ではない。米国はもっとしっかり考えないと駄目だ」と説教し、オバマ大統領との会談は「十分な時間を確保してくれないと困る」と注文をつけた。はたして小沢氏の思惑通り、オーバル・オフィスと呼ばれる大統領執務室での会談は実現するのか――。
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