大阪市 生活保護費増大 平松市長「栓、適正に閉める」
2月18日15時45分配信 産経新聞
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大阪市の生活保護費(写真:産経新聞) |
「コック(栓)を適正に閉める」。大阪市の平成22年度当初予算案で、過去最高を更新した生活保護費。平松邦夫市長は支出拡大に歯止めがかからない現状を垂れ流し状態の水道に例え、不正受給の防止や自立支援など制度適正化に向けた事業に18億円を計上した。生活保護世帯で育った子供が後に受給者となる「貧困の連鎖」を断ち切る“新作戦”にも乗り出す。
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市によると、昨年12月現在、市内で生活保護を受給しているのは10万5474世帯、13万6617人で、市民の5・1%が受給している。22年度に計上した生活保護費2863億円は市税収入(6091億円)の5割近くに達し、この4分の1を市が負担する。
適正化に向けた事業の柱は関連職員400人の増員だ。人員不足が深刻なケースワーカーを3年の任期付き職員として242人雇用、約1100人に増やす。市長部局職員の15人に1人がケースワーカーになる計算だ。
さらに、職員の不十分な対応で受給者が自立できない“悪循環”を防ぐため、窓口での説明や調査補助にあたる嘱託職員を53人配置。国に制度の抜本改正を提案するため設置した生活保護行政特別調査プロジェクトチームでは、受給者に住居を提供して保護費を吸い上げる「貧困ビジネス」の実態調査や不正受給防止策の検討を進める「適正化推進チーム」を、現在の4人から警察OBらを加えた13人に増強する。
一方、将来的な負担軽減に向けて貧困の連鎖を断ち切る施策に取り組む。
市によると、生活保護世帯の子供は一般家庭と比べて高校進学率が低く、中退率も高い傾向にある。卒業後、仕事が長続きせず受給者となるケースも目立つという。市の担当者は「親の働く姿を間近で見てきた家庭の子供と比べると、自立心が芽生えにくい」と分析する。
市は22年度から、東住吉、浪速、西淀川、生野、旭の5区役所に社会福祉士を1人ずつ配置。受給世帯の中学3年生と高校生を対象に、ケースワーカーや学校と連携しながら進学指導や将来設計の助言などを行う。全国的にも珍しい施策で、効果があれば全区役所に拡大する方針だ。
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最終更新:2月18日18時48分
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