2009年03月18日

ザ・ベストハウス123

 中山市朗です。

 16日のこのブログで告知しましたように、本日関西テレビ系で19時57分より『ザ・ベストハウス123 春の2時間祭り超プレゼンバトル』がオンエアされるのでありますが・・・私も塾生たちも、ちょうど塾での講義と重なるために視聴できません。まあ、録画はしておきますけど。

 時間にしてわずか数分の私の出演ですが、実は2度も東京へ行って収録しております。これがねえ、まあちょっと聞いてくださいよ。
 「奥さん、ちょっと聞いてください」(先代林家三平風に)

 最初撮った映像が、NGになったわけです。
 それは、どういうことかというと・・・。

 まず、私は霊能者ではありません。霊も見えません。
 怪異蒐集家なわけでして、霊のことは肯定も否定もしていない、というスタンスをとっているつもりです。ましてや「心霊」映像だの写真だの、本物なのかどうかは私にはわかりません。「それでもよければ」ということで、出演を了承したのです。私に出演依頼してきた制作会社の考えもそうだったはずですが、私のような立場の人間がコメントすることにより、より視聴者に近い目線になるように思うんです。
 だいたい霊能者みたいな人が出てきて「これは浮遊霊です」だの、「ご先祖さまが現れてあなたに語りかけています」なんていうのは、もう「アホか!」と言いたいときもありますもん。浮遊霊だの呪縛霊なんて、昭和40年代、中岡俊哉さんの言い出した造語です。それまではそんな言葉はなかったんですよ。それに心霊写真をもっていると、よくないとか、祟られるとか、あれ、誰が言い出したんでしょうかねえ?
 心霊写真なんていうのも、ここ百年にも満たない歴史しかない。
 心霊写真が祟るなんていうことは、どこの教典にも教えにもありません。
 私はたくさんの心霊写真らしきものを預かって、仕事机の引き出しにそのまま入れっぱなしにしていますが、怪我も病気もしたことがなくて、ここ20年ほど保険証を使ったこともない。両親も元気やし。
 心霊写真みたいなものあるんやけど、どうしたらええの、と思っている人がいたら、塾の私名義宛に送ってください(マジ)。
 まあ、ご先祖さまとか霊感とか、そんなこと関係なしに、日常に飛び込んでくる怪異こそが、「ほら、あなたのそばにもひょっとして・・・」ということが言えるわけでして。そこが不思議で怖いはずなんですけど。
 霊感があるから霊が見える、なんていうのはもうやめましょう。
 心霊写真が祟るとか、もうみんなイメージ。作られたイメージ。そんなん払拭せなあかん。
 前置きが長くなりました。

 そんなこんなで、呼ばれて東京へ行ったわけです。
 まず収録場所の編集スタジオで、心霊映像とやらを5本観せられて、「このうち3本を選びます。いろいろ使用許可とかスポンサーの関係で、使えないものも出てくるかもしれないので」と言うんです。
 で、5本のビデオについて、私の紹介コメントを収録したわけです。

 「心霊」とは断定しないことにしたんです。私も映像のことはわかりますので、それは絶対に撮れないか、というとそうとも限らない。それに妙なものが映りこんでいたところで、それが心霊とも限らない。現地に行ったわけでもなければ、撮った本人に取材したわけでもない。だから、なんとも言えないというのが正直なところ。
 ですから、コメントには「いわゆる心霊映像、とも言われる」とか「の可能性も」という言葉を使ったのですが、やっぱりそこは「言い切ってください」と言われた。
 それから、「これから観ていただく映像は怖いですよ。衝撃ですよ」と煽ることもやりたくない。そうではなくて、淡々と紹介して衝撃映像を観せる、というほうが効果的なこともあるんです。だから、そこは抑えたんです。
 もうひとつ、「笑い」を入れてみた。だいたいこういうのは、暗くて、いかにもという顔をしてコメントしてくれ、と言われるけど、それはあかん、と。
 恐怖も笑いも同じで、緊張と緩和が大切。
 現に、ちょっとギャグっぽいコメントをして、そのあと締める、というパターンを撮ってみたのです。そしたら最初否定的だったディレクターは「なるほど、これはありですね」と分かってくれて。アシスタントの子も、「これは僕もグッときました」と言ってくれたのですが、それを使う、使わないは、局のプロデューサー。だから、「笑いのないパターンも撮っておきたい」というので2パターン撮ったんです。

 さて、笑ったのはこれは確かオンエアされていたはずですが、米国の映像で、廃車置場の監視カメラに霊らしきものがうろうろしている、という映像の紹介。
 これは詳しいことがわかっていたんです。
 「ある主婦が、旦那さんと子供を家に置いたまま一人で車で遊びにいって、その帰り道に激突事故で即死。その大破した車が、この廃車置場に置いてあるらしいんです。しかも車の中に家族を撮ったビデオテープがあった。どうもそれを探している・・・」
 これを紹介できないわけです。
 「激突事故、NGです」「廃車置場に車がここにある、NGです」
 なんで?
 車のメーカーがスポンサーなので、事故、廃車、危険、をイメージさせる言葉は駄目、なのです。私、言ったんですけどね。「日本の車だったら、そうはならなかったでしょうね、とコメントをつけたらどうです?」
 現場はウケましたけど。

 さて、そんなこんなでわずか数分の出演のために、3時間ほど撮影して、予定通り帰ったのですが、数日後「すみません、撮り直ししたいので、もう一度東京へ来ていただけませんか・・・」という申し訳なさそうなディレクターさんからの電話。
 やっぱり、NGを食らったそうで。
 というより、編集したものを、髭男爵の紹介で本番収録で流したらしい。
 そしたら他のタレントさんは「怖っ!」という反応をしている中で、泉ピン子さんと中尾彬さんは「怖くない」と言い出したらしいんです。ピン子さんは、「私は実際そういう体験があるから、もう怖くない」と。これはまあわかる。中尾さんは、「怖いのは結局人間だよ」と言い出した。それを言っちゃあ・・・。現場の空気察しろよ(いやいや、これはスタッフの言葉)!

 で、やっぱり怖く盛り上げるコメントが欲しい、となっちゃったらしい。それに、やっぱり番組プロデューサーとしては、「これこそは最高に怖い本物の心霊映像だ!」と言い切ってほしい、と・・・。

 というわけで、再び行った東京のスタジオでは、「別に俺でなくともいいじゃん」的コメントに差し替えられて・・・。
 まあ、どんな感じに仕上がっているのか、わかりませんが。
 おそらく突っ込みどころ満載の紹介になっていますので、そこはみなさんで思いっきり突っ込みながら観ていただければ・・・。

 ただ、最後に流れた映像。
 あれも撮れないことはない。真後ろに少女をしゃがませてカメラのフレームから外れてもらい、合図でスッと立てばいいわけです。あの映像を否定するのは簡単でしょう。
 ただし、それは映像を本格的に撮っている者にしかできないテクニックであることは確かです。遠くで楽しそうに手を振っている少女と、突然少年の真後ろに現れた、おそらく同じ顔と思われるやや寂しそうな顔の暗い表情の少女、という緩和と緊張、という使い分けも、プロでも思いつかないほどの、作られたもの、だとすれば大した演出力です。
 しかもそんなことを単身赴任しているお父さんへのビデオレターで作りこむ意図も理由もわからない。それより、手前の男の子にはピントは合って(当たり前ですが)、クリアな映像なのに真後ろに立った少女は質感が違うんですね。それに、顔がボヤけている。
 「顔の印象がない」とは、霊体験した人たちの中でも、ほぼ共通した証言なんです。
 だからあれこそは、「霊らしきモノが映りこんだ」映像だと思います。

 そのこともコメントしたのですけど、活かされていたのでしょうか?

 でも・・・ここだけの話、よくある『ホントにあった呪いのビデオ』と題されて市販しているビデオは、ほとんどがプロによって作られたもの、であることも事実。
 鶴田法男さんや清水崇さんなど、若い頃はそんな映像を作っていたと言いますから。

 でもねえ・・・、違うんだよなあ。
 テレビやっている人の言うことって、固定概念、固定のイメージ。
 怪談 → 霊肯定 → おどろおどろしい → オカルト、みたいな。
 怪談はオカルトじゃねーよ、と私は言い続けているのですが、そんなイメージで番組作っちゃうのがテレビ局。怪談といえば、すぐ霊能者を出してくるのもテレビ局。
 で、怪談の企画をもっていくと言われるわけです。
 「うちはオカルトやらない方針でしてねえ」
 怪談をオカルトにしてるのは、おたくじゃんって。
 
 怪談は落語と同じ、話芸やっちゅうの!
 三遊亭圓朝はオカルトやってたのかっちゅうの!



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kaidanyawa at 19:20│Comments(11)この記事をクリップ!

この記事へのコメント

1. Posted by さすらい   2009年03月19日 00:40
 私は基本、ほんまに怖い話はテレビで流せる訳は無い!と思っておりますので、今のテレビでどんなに恐怖映像を見せられてもあんまり怖いとは思いません。
 中山塾長がご出演ということで拝見しましたが、塾長のVTRが終わったらすぐに観るのをやめました。最近のテレビで見受けられる、スタジオの芸能人。私は「芸能人の視聴者化」と呼んどるのですが、イライラしてくるんです。VTRを観てる顔を小っこいワイプで映したりして、あれ、いるんでしょうか?観てるだけの芸能人にはもううんざりです。(意見には個人差があります。)
 泉ピン子や中尾彬を暗がりに立たせて、二人の顎からライトあててみたらいい。その方が怖い映像撮れると思いますけどね。
 まずかったら、削除してください。
 しばりが多すぎて、出演者やスタッフの意向が反映されない今の地上波の悲劇。分からんでもないのですが、私はそういう番組は相手にしません。
 でも、テレビっていうのは基本つまらなくて良いとも思ってます。全部の番組が面白かったら、こっちの時間が足らなくなりますから。
 
2. Posted by 小波   2009年03月19日 01:19
拝見しました!
さすが塾長はどこ行っても堂々とした語りっぷりだなぁと思ってました(当たり前かナ…)。
しかし、駐車場のコメントもされてたんですね。VTRが無かったので、コメントしてるのとしてないのがあるんやな〜なんか変だな〜と思ってたんですが、削除されてたとは…とか言って、映像に気を取られて見逃してるだけだったらスミマセン…
3. Posted by 中山市朗   2009年03月19日 01:50
さすらいさん。

お久しぶりですね。
テレビ番組の制作の

ありかたについては、私もいろいろ言いたいこともあり、関係者の方々ともいろいろ意見交換しているところです。
今、テレビ局はかつてない不景気で、スポンサーがつかないそうですが、自業自得だと思います。

ところで、テレビで再現映像なしの、怪談を話芸として聞かせる番組を作りたいと思っています。きっと怖いものができるはずです。

以前関西テレビでやっていた「恐怖の百物語」のように。

でもテレビ局側の人たちは、怪談といえば稲川淳二しか知らない・・・。
4. Posted by 坂本十三   2009年03月19日 01:57
番組見ました。
普段とずいぶん違い変な感じでした。
影の部分でのご苦労お察しします。
二度の上京お疲れ様でした。
テロップが中山市郎になってましたね…
5. Posted by 中山市朗   2009年03月19日 02:02
小波クロさん。

駐車場のコメントは確かにカットされてました。というか、相当長いコメントしたんやけどねえ。ほとんどカットや。
あれはわしの意見ちやう。もっとおもろいコメント言うてたのに・・・。
6. Posted by 中山市朗   2009年03月19日 02:06
坂本十三くん。

変な感じて?
間違いは郎だけちがう。

「新耳袋」累計百万部て。
もっともっと多いわい!
7. Posted by ルートツー   2009年03月19日 02:18
「郎」の間違いは、ずぐに気付きました。
パソコンの変換をうのみにしていると、
その間違いをおかしやすいですよね。
新聞や雑誌と違って、テレビは校正が甘いのですか?

>ところで、テレビで再現映像なしの、怪談を話芸として聞かせる番組を作りたいと思っています。きっと怖いものができるはずです。
>以前関西テレビでやっていた「恐怖の百物語」のように。

ちょっとご相談させてください!
S野くんから近日中に話がいくはずです。
何ができるのかは分かりませんが、
お話をする中で模索できないか、と思っています。
8. Posted by 中山市朗   2009年03月19日 02:27
ルートツーくん。

えっ、ほんま?
なになに?
9. Posted by z   2009年03月19日 09:48
昨日でしたか。テレビ見る習慣って
いうのがないから、つい見逃して
しまいました。
現在、一週間累計でテレビ
視聴時間一時間に満たない筈です。
それぐらい、つまらない&どうでも
いい番組が増えてしまいました。

感動も恐怖も、過剰なまでに
「感動するでしょ?」「怖いでしょ?」ってやられると正直、興醒めしますね。
それぐらいの感性、こっちは
持っとるわい、放っとけぃ!と
言いたくなる・・・。
10. Posted by 中山市朗   2009年03月19日 09:55
Zさん。

別に観なくてもよかったっす。
11. Posted by 亥戸 碧   2009年03月19日 14:22
中山先生、作劇塾生の皆さま
昨日はネトラジ収録お疲れ様でした。

ワタシも昨日の夜に、録画を拝見させて頂きました。
普段の先生やったらもっと映像的な事や、なんでも霊のせいにしちゃイカンとか、適切にコメントしてくれてそうですが、番組的にカットされてるんだろうな・・・
と思って観ていました。

ネトラジで言い忘れたのですが
塾生さんのクリエイターへの熱い情熱を、近い未来に実らせて、胸を張って‘私はプロです’と言って欲しいです。
そして中山先生に恩返しして欲しいです。

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プロフィール
中山市朗
怪異蒐集家・作家

兵庫県生まれ。
大阪芸術大学映像計画学科卒業。

著書に『新耳袋』(メディアファクトリー/角川文庫)  『捜聖記』(角川書店) 『現代妖怪談義・妖怪現わる』(遊タイム出版) 『怪異実聞録・なまなりさん』(メディアファクトリー ) など。

漫画家、作家養成塾『作劇塾』主宰。