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託す:2010年町田市長選/中 市民病院 /東京

 ◇どうなる「経営改革」

 1年前、町田市民病院(町田市旭町2)の運営を巡る議論はピークに達した。内容は、地方公営企業法の全部適用(全適)に移行するかどうかだ。

 全適では、経営の権限が市長から新設の病院事業管理者に移り、人事や予算を独自に進めることができる。だが、市議会の一部会派からは反対や先送りすべきとの意見もあった。理由は「議論が不十分」や、病院事業管理者に就く元毎日新聞記者の四方(しかた)洋氏(74)について「病院経営の経験がない」というものだった。

 市民病院は04年度から赤字が続く。全国的な医師不足に加え、市内唯一の公立病院のため、救急や小児科など不採算とされる部門もカットできず、民間に比べ厳しい経営を迫られていたためだ。病院の生き残りをかけ、経営改善に向けた一手が、全適移行だった。

 昨年4月に全適が開始され、10カ月が過ぎた。前総院長との関係から懸念された医師やスタッフの大量退職はなく、経営面でも入院費前納制を取り入れたり、7000万円以上ある未収金の徴収強化に着手。その結果、患者一人あたりの入院単価の上昇など改善の兆しを見せている。

 しかし、来年度は、昨年4月に条件付きで再開した小児2次救急のフルタイム化や町田市医師会と連携した小児1次救急の受け入れという地域の中核医療施設として新たな診療体制の確立が急がれる。

 課題となるのは資金面だ。市の一般会計からの繰入金は04年度から13億5000万円と据え置きで、赤字分は病院の「貯金」とも言うべき内部留保資金を取り崩している。昨年12月の残高は約31億円で、このまま赤字が続けば、数年後には底を尽く。新たな体制確立でさらに赤字が膨らむ可能性も否定できないが、四方氏は「できる限り経営努力を尽くし、市民の負担を軽減すべきだ」と増額には否定的だ。

 経営改革に取り組み始めた市民病院。診療体制の強化を求められる中、双方を同時に実現するのは簡単ではない。岐路に立つ病院に対し、新しい市政のかじ取り役の果たすべき役割もまた大きい。【伊澤拓也】

〔都内版〕

毎日新聞 2010年2月18日 地方版

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