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当たり役の数々…絶品だった「てなもんや三度笠」

1963年6月、白木みのるさん(右)とポーズをとる藤田まことさん=東京・日比谷公園
1963年6月、白木みのるさん(右)とポーズをとる藤田まことさん=東京・日比谷公園
Photo By 共同

 あるときは底抜けに明るいコメディアン。またあるときは人生の深みを渋く刻む名優。17日亡くなった藤田まことさんの軌跡を鮮やかに彩ったのは、息の長い、数々の当たり役だった。

 歌謡ショーの司会者などで下積みを重ねた藤田さんの転機は、29歳で出合ったコメディー番組「てなもんや三度笠」。初めての主役「あんかけの時次郎」は、調子がいいけれど憎めない役回りで、最高視聴率が関西で60%、関東でも40%を超える超人気番組のスターになった。

 番組終了後、一時は各地のキャバレーを回るなど不遇な時代が続いたが、1973年から演じた時代劇「必殺」シリーズの中村主水は、それまでのコミカルなイメージを覆した。昼あんどんと呼ばれる情けない男と、狙った獲物は逃さない非情な殺人者を演じ分け、俳優として大きくステップアップした。

 「必殺」がマンネリ気味になった時、刑事ドラマ「はぐれ刑事純情派」の企画が浮上。悪を憎むが、人は憎まないという人情味あふれる安浦刑事に、卓越した演技力で血を通わせた。

 テレビでは時代劇「剣客商売」の小兵衛、舞台では名作ミュージカルの主人公ゾルバ…。当たり役に恵まれた芸能人生だった。

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