雄星トホホ…試合用の“母校愛グラブ”使用禁止

２つのグラブを持ち、ブルペンを引き揚げる雄星。右手にはめているのが部章入りグラブ Photo By スポニチ

　調整遅れから２軍降格の危機に直面している西武・雄星投手（１８）が１７日、５日ぶりのブルペン入り。しかし、母校・花巻東野球部の部章をあしらった試合用のグラブが、野球規則に抵触する恐れがあるため審判団から使用禁止を通達された。愛着を持っていたグラブだけに無念の表情を浮かべた雄星だが、ブルペン投球では今後に明るい兆しを感じさせた。

　珍しく練習用グラブで５日ぶりにブルペン入りした雄星が７９球目を投げ終えた時だった。審判団のチェックを終えた試合用グラブが関係者から雄星に戻された。判定は「アウト」だった。

　「高校への恩返しの意味も込めて（試合で）使ってみたかったんですけど、ルールなんで仕方がないです」

　愛校心が思わぬ事態を招いた。「初心を忘れないように」と１月の新人合同自主トレから使用している花巻東野球部の部章入りグラブ。もちろん試合でも使用するつもりだった。しかし数日前、日本野球機構（ＮＰＢ）に匿名で「雄星のグラブは試合で使えるのか？」と問い合わせがあり、この日になって調査。審判部の前川特命顧問は審判団の協議の結果、「花巻東野球部のマークだと聞いて、試合ではダメだという話になった。宣伝効果になる可能性がある」と、使用禁止を通達した。

　その後、ＮＰＢでも西武球団からメール送信された雄星のグラブを確認。五十嵐規則委員は「商標とまではいえないけど、どこかで線引きして（商標と）同じ扱いにしないといけない」との見解を示した上で、野球規則一・一七の注三の（３）に抵触する可能性を指摘した。マーク類に当たる可能性についても「母校を思う気持ちは理解できる。ただ、マーク類は球団のペットマーク、背番号、名前しか認めていない」と説明した。

　フォームで悩み、さらには大事な“相棒”まで失った雄星だが、ブルペンでは復調の兆しが見えた。４日間ノースロー調整だったことで「頭で考えたことを整理して、頭と体が一致してきた」。これまでは右足着地時に右肩が上がるフォームに苦悩。左腕が萎縮してしまい高めに抜けるボールが多かったが、思い切り腕が振れることで本来の球威と角度が戻ってきた。実戦登板のメドは依然として立っていないが、「突破口というか、道が開けた感じ。きょうのボールで精度を高めていけば抑えられる」。その言葉を今度こそ信じたい。

　◆公認野球規則一・一七　ベース、投手板、ボール、バット、ユニホーム、ミット、グラブ、ヘルメットその他本規則の各条項に規定された競技用具には、それらの製品のための不適当かつ過度な商業的宣伝が含まれていてはならない。

　【注三】（３）ミットまたはグラブに表示する商標は、布片または刺しゅうによるものとし、これを表示する個所は背帯あるいは背帯に近い部分、または親指のつけ根の部分のうちのいずれか一個所に限定し、その大きさは縦４センチ以下、横７センチ以下でなければならない。

[ 2010年02月18日 ]