金正日総書記の料理人として北朝鮮に長く滞在した藤本健二氏の著書・『金正日の料理人』(扶桑社)によると、藤本氏が金正日総書記の前で射撃をした際、上手く的を射抜くと、金正日総書記は「ナカノヤー!(中野だ!)」と言ったそうです。
この「中野」は陸軍中野学校を指しています。
また、元北朝鮮工作員の安明進氏は、工作員養成機関である金正日政治軍事大学にいた際、「陸軍中野学校シリーズ」を教材として何度も見せられていたと証言しています。
他方、「救う会」の荒木和博氏は、シリーズ第2作・「陸軍中野学校 雲一号指令」で村松英子が扮する支那工作員が日本人芸者の梅香に替え玉として成り代わる、いわゆる「背乗り」の場面を拉致の参考にしたのではないかと指摘しています。
映画では、本物の梅香の恋人である斉藤正を中国で捕虜にし、その経歴を全て替え玉の梅香に教え込んだ上で、確実に覚えこんだかどうか自白薬を使ってテストしています。
斉藤正は表向きは死んだことになっていますが、実は捕虜のまま生きている、という設定です。(本物の梅香の生死は不明。)
この「背乗り」は、実は第一作目でも次郎がカナダ帰りのアメリカ共産党員で、洋服屋の原口に化ける際にも用いられています。
次郎は地検の検事に成りすまして取り調べをする中で、本物の原口から過去の経歴を全て聞きだし、カナダ訛りの英語までマスターする一方、本物の原口は警視庁に留置するのです。
次郎は本物の原口になりすまして横浜に実際に洋服屋を開業し、目指すターゲットである横浜の英国領事館員に接近します。英国大使館も原口の身元を調査しますが、次郎が偽者だとは気付きません。
北朝鮮はかつて明らかになっているケースだけでも、大韓航空機事件で日本人の蜂谷真一氏になりすました金勝一、西新井事件で小住健蔵氏になりすました朴某、原敕晁さんになりすました辛光洙等、日本人への背乗りを何件も実践しています。
この他にも、先に捜査が入った西新井病院も拉致事件の日本国内における拠点ではないかという疑いが持たれているようです。
もし事実だとすると、シリーズ第5作の「陸軍中野学校 開戦前夜」に登場するセント・ジョセフ病院がモデルになっているかもしれません。
他にも北朝鮮が参考にしたと思われる点に気がついたら加筆していきます。