なぜ苦戦？薄型テレビ戦線異常あり？

意外に感じられるかもしれないが、テレビ事業で国内メーカーは苦戦を強いられている。国内シェア首位のシャープ、2位のパナソニックはともに営業赤字、世界シェア2位のソニーに至ってはテレビ事業で1300億円の営業赤字を計上した。そんな中で国内3位の東芝だけが黒字を計上。

バンクーバー五輪、ワールドカップ、地デジ対応など売れる要素はあるものの、なぜ赤字なのか？　なぜ東芝だけが黒字なのか？　この秘密(不思議？)を「テレビ」ガイドの大橋伸太郎氏に聞いてみた。同氏がまず前提として挙げたには、「グローバルでの寡頭競争」だった。

「韓国企業の台頭が目覚しいんですよ。北米の売り上げNo.1はサムスンですし、LGもベスト5に入っている。台湾、中国もレベルが高いものを作れる下地ができている」

つまり、日本は韓国、台湾、中国の同じアジアパワーに大きく押されている現状で、煽りを食らった焦りが生じている。そこに東芝黒字のからくりがあるという。

「シャープ、パナソニック、ソニー、日立などは、パネルを自前で作ることができる。しかし、東芝は自前で作れず、薄型テレビへの転換が遅れました。このマイナスをプラスへ変え、他社がやっていないことをやったんです。たとえば、録画テレビ、光沢のあるクリアパネルの使用、ゲームモードをより良くしたりしたのです。付和雷同しなかった姿勢が受け、レグザブランドは男性の支持を集めました。また、テレビの製作手段を持たない東芝は、薄型転換は遅れましたが、その都度、臨機応変にパネルを安く買ったり、いかにいい製品を作れるかに集中できたことが大きかったですね」

おたく的要素を取り入れて、男性ファンを惹きつけた東芝。次なる目標は女性ファンの取り込みで、「だから今、レグザのCMで福山雅治を起用しているんですよ」と同氏。納得である。

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