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【福井発】

三方五湖の自然再生 県と地元2町協議会設立へ 外来魚対策など

2010年1月27日

三方湖の調査でヌクミ漁をする地元漁協関係者ら=昨年11月、若狭町で(県自然環境課提供)

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 県と美浜、若狭町は外来魚の増加などが進む三方五湖の自然を取り戻すため、北陸地域では初めて自然再生推進法に基づく協議会を設立する方針を固めた。二月二十一日に準備会を開き、漁業者や民間団体、地元住民などとともに、地域を挙げて再生を目指していく。 (渥美龍太)

 「ブルーギル64・9%」「ブラックバス14%」。東大保全生態学研究室が昨年十一月、地元漁協などと共同で三方湖を調査した。木の枝を束ねた仕掛けを湖底に沈める伝統のヌクミ漁を試み、捕れた五十八匹のうち約八割を外来魚が占めた。

 調査を担当した研究室の松崎慎一郎特任助教は「この状況はほとんど確認されてこなかった」と説明。三方五湖は多様な魚類の生息が評価されて、二〇〇五年にラムサール条約登録湿地になったが、「地域固有の生物は減少傾向にあるようだ」と警鐘を鳴らした。

 協議会は行政機関や地元関係者で組織し、自然再生の目標などを示す全体構想を作成。構想に基づき、参加者がそれぞれ作成する実施計画の調整を担う。国が置く専門家会議からの助言や、事業実施のための交付金も受けられる。

 三方五湖の実施計画には、外来魚対策のほか、県が二〇〇九年度の六月補正で予算化した浅瀬造成や護岸整備も、固有の魚介類がすみやすい環境整備として計画中に位置付けられる見通し。

 松崎特任助教は「三方五湖をめぐるネットワークを大きくして、関係者が情報を共有できれば、再生に向けての意思統一や行動が迅速にできるようになる」と話している。

 

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