函館市は、市内の公衆浴場に対する上下水道料金の減免措置について、新年度から施設面積340平方メートル以下を対象に縮小する方針を明らかにした。民間のスーパー銭湯などの新規出店を事実上抑制するのが狙いで、市内の銭湯など小規模事業者を保護する。
市の減免措置は現在、施設規模にかかわらず、下水道料金の95%、上水道料金の47%を免除している。住民らの保健衛生上欠かせない公衆浴場を確保するのが目的で、現在40カ所ある公衆浴場のうち、15施設は340平方メートル超だが、既設施設についてはこれまで同様、減免を継続する。
市内では旧市街地を中心に広範囲に温泉源があり、温泉を利用した大型の公衆浴場が増加、小規模業者の経営を圧迫している。また湯の川温泉でも過去40年で源泉の水位が約12メートル低下するなど、温泉資源の保護も課題で、市は道に対し市内の「温泉保護地域」の拡大を要望する方向で検討している。
340平方メートルの面積規制は、1時間当たりの最大利用者が110人程度を想定したもので、サウナ、ジャグジーなどの付帯浴槽や飲食施設を含む。スーパー銭湯など大型施設はおおむね規制対象となるとみられ、函館保健所は「新規開発を直接規制するものではないが、経営や他施設との競合上、新規出店は難しくなるのではないか」と話している。【昆野淳】
毎日新聞 2010年2月6日 地方版