【経済】トヨタ労組、春闘要求書を提出2010年2月17日 夕刊 トヨタ自動車労働組合(鶴岡光行執行委員長、組合員約6万3000人)は17日、定期昇給(定昇)に当たる賃金制度維持分(7100円)の完全実施を柱とする2010年春闘の賃金交渉要求書を会社側に提出した。ベースアップ(ベア)に相当する賃金制度改善分の要求は5年ぶりに見送った。 トヨタ経営側は要求書の提出を受け「国内の雇用を守るため、コスト競争力を高めることが不可欠」と、賃上げよりも雇用を優先させる考えを示した。トヨタの小沢哲専務(人事担当)は定昇について「慎重な上にも慎重に議論しなければならない」と述べた。 小沢専務は現在の大規模リコール(無料の回収・修理)問題が今後の交渉に与える影響について「判断は難しい」としつつ、「労使一体で信頼回復に取り組まなければならない。それができなければトヨタの存続すら危ぶまれる」との強い危機感を示した。 トヨタ労組の鶴岡執行委員長は「少しでも早く赤字脱却しようと頑張っている組合員に力を与え、この難局を乗り切りたい」と述べた。 トヨタ労組は09年春闘で、7100円の定昇に加えてベア4000円を要求したがベアゼロで妥結。今春闘では昨年の獲得実績と同水準の要求となった。 トヨタのほか、大手自動車メーカー各労組も同日、賃上げの要求書を会社側に提出。給与体系にベアの概念がない日産自動車の労組は1人当たりの賃金改定の原資として、昨年より3000円少ない7000円を求めた。各労組が加盟する自動車総連は統一ベア要求を5年ぶりに見送る方針を決めている。
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