東京のシステム開発会社「トランスデジタル」を巡る民事再生法違反事件です。トランス社が経営破たんの直前に行なったおよそ30億円分の増資の一部が、実態のない見せかけの増資だった疑いのあることが、捜査関係者などへの取材で分かりました。
この事件は、ジャスダックに上場していた東京のシステム開発会社「トランスデジタル」の社長、後藤幸英容疑者(44)らが、おととしの経営破たん直前に、暴力団と関係の深い金融ブローカーの野呂周介容疑者(70)が経営する会社にだけ、不正に資産を譲り渡そうとしたものです。
トランス社はおととしの8月、CS放送で自衛隊のPR番組を制作する資金の調達などを名目に、およそ30億円の増資をしたと発表、制作発表パーティーには防衛大臣らも招かれましたが、直後におよそ26億円の負債を抱え、経営破たんしました。
捜査関係者によりますと、この30億円の増資の一部は、同じ金が出入りするたびに株券が発行される見せかけの増資だったということです。
「いわゆる仮装的に増資が行われた部分もあるのではないかと。(同じ)金が何回も何回も出入りすることによって、見た目上、お金がいっぱい入ったことになる」(「トランス社」社長・後藤幸英容疑者)
警視庁は、この見せかけ増資で、増資に参加した金融ブローカーらが不当に利益を得た可能性があると見て、不透明な増資の経緯について調べる方針です。(17日11:08)