民主党の小林千代美衆院議員=北海道5区=側が、北海道教職員組合(北教組)側から総額1600万円にのぼる違法な選挙費用の提供を受けたとされる事件で、小林氏陣営の会計担当者が朝日新聞の取材に、自ら資金を受け取っていたことを認め、「表に出せない金と分かっていたので、(事務所の帳簿に)意図的に記載しなかった」と証言した。資金提供の違法性を認識していた発言で、会計担当者は札幌地検に対しても同じ説明をしたという。
小林氏陣営では2009年8月に行われた衆院選に向け、北教組委員長(当時)が選対委員長を務めていたが同年6月に死去し、後任に北教組副委員長(現委員長代理)が就いた。捜査関係者によると、資金提供は、この2人に会計担当者が依頼する形で始まり、400万円ずつ計4回行われたという。
委員長から3回、副委員長から1回、直接現金で手渡されたとされ、会計担当者は「収支報告は全部1人でやっている。帳簿に載せられない金があった。やばいカネだと分かって意図的に(虚偽記載を)やった」と話している。
小林氏陣営は08年9月、選挙戦で使う事務所を開設。しかし、衆院がなかなか解散されなかったため、事務所の維持費などがかさみ、資金不足に陥ったという。会計担当者は「自分が直接、北教組幹部に頼んだ」とも証言した。
提供資金について、札幌地検は、北教組の裏金から工面されたとみて捜査しているが、会計担当者は「それは北教組内部のことで、自分は何も知らない」と語った。