性・愛・恋
第 三 部 性体験を語る 風俗のつまらなさ
性体験を語る
露骨と言うか、理解しやすいようにセックスについて論じてみようか。愛は性の大脳皮質化という表現をしたいのだが、通じるだろうか。つまり本能以外を持つ動物である人間として、性(本能)を下地としつつも、本能以外の大脳皮質で異性を求め受け止めるという機能があるのだ。そう言う風に神が人間をお作りになったのだ。
しかし俺には愛がなかったのだ。それならば性はどうなのか。本能と文化が半分つなんだろうから、愛が生まれた家庭のせいで手に入らなくても、性ならば俺にも手に入るはずじゃないか。そう言う思いが強かったのだ。そこで第三部では、露骨に性を語ることにした。それもショッキングな見出しで始めることにしたのだ。
自分は、モテル方ではないので、性体験と言っても、豊富にある訳ではない。時代的に言っても、セックスを自由に楽しめる若い時代を過ごした訳ではない。さらに若い頃は潔癖感があって、風俗を忌避していたので、風俗に行き始めたのは、離婚を決めた50過ぎからである。そんな少ない体験ではあるが、思い入れだけは人に負けず強い方なので、体験よりも思いを先走しらせて、身勝手なエッセイを書いてみようと思う。
悶え声・よがり声
ある時、デリヘルを呼んだ時の話し。といっても、けっしてデリ嬢とのホテル内でのお楽しみの話しなのではなく、じつは、ホテルの部屋から出た時に驚愕したという話しなのだ。
デリ嬢と部屋を出て、駐車場に行くまでのこと、どこからか大きな声が聞こえてきたのだ。まるで悲鳴と言った方が良いような、女のあえぎ悶える声で、間欠的に一定のリズムで聞こえてくるのだ。思わずデリ嬢と顔を見合わせてしまった。
「そうだ 俺は一度だってあんな声を出す女と付き合ったことはない」
あの時の声一つで、自分の人生に悲観してしまったのだ。30年も結婚していたし、離婚してからは風俗も散々通ったし、結婚以外で付き合ったことがない訳ではないし、それでもあんな声を挙げる女は一人もいなかった。俺はあんな声を聞くことなく、一生を終えなければならない運命なのだ。
風俗の話し
自分はもてない男なので、ナンパしても成功せず、職場サークル等の「普通の出会い」(ナンパ以外)で思いを伝えても、さっぱり成就しないのである。そこで性を語るに当たって、仕方なく風俗という日本の伝統文化の世界で語ることにしたのだ。ただし、自分の中の風俗像は、時代劇の吉原風なので、もしくはせいぜい戦前の文士の遊郭遊び風なので、現実とは大分違っているのだった。
名器とは
名器ってなんだ? 自分の僅かな体験と知識とから描写してみようではないか。
・入り口が締めてくる物:巾着締めであろうか、結構意志で動かせるそうだ。
・全体が締めてくる物:三段締めであろうか。
・子宮頸口部の動き:感じてくると、子宮が降りてきて、頸口部が亀頭に当たることは結構知られているようだが、頸口部が亀頭を包み込んでフェラしてくれるという。
・膣の内側:数の子天井であるろうか。特に腹側に凸凹がたくさんあって、動かすと亀頭を刺激するという。コンドームを付けていると感じないような気がする。
・潮吹き:単に濡れるのが多いだけではなく、Gスポットから大量に出るとか。
・吸い込み:単に蠕動だけではなく、負圧が働いて、男根を吸い込んでいくという。
この中で一つだけ経験がある(数の子天井も指では知っているのだが、逸物ではコンドームを付けているのでよく分からない)。風俗でのことであるが、フリーで入って、写真が好みでなかったので大して気が乗らないで遊んでいたのだが、何の気無しに指を入れてみようとしたら、まるでお尻の穴と間違えたのかと思うくらい入り口が狭いのであった。ゆっくり指を入れていくと、中も奥まで狭い。しかも指をぐいぐいと押しつけてくるのである。今でも思い出すと実にもったいないことをしたと後悔する。もっと楽しめば良かったのに、2回目指名しようとしたら、辞めていたのだ。
それ以外は残念ながら当たったことはない。これで俺の一生は終わりなのだ。
射精産業
風俗像のギャップというと、一言で言って今の風俗は、射精産業なのである。つまり女が男の体を刺激して、いかにして行かせるか、を商売の目標にしているのだ。だが俺は古い方の人間なので、自分が刺激されるのは勿論であるが、男が女にあれこれやって、女を興奮させて、行かせる、その興奮する女を見て男も一緒に行く、と言う楽しみ方を求めている。だから風俗に行ってもギャップがあって面白くないのだ。
営業目標が、「抜くこと」になっているようだ。だから男を刺激するテクはたくさん用意されているが、女は男を冷静に観察してるみたいな気がする。自分では太刀打ち出来ないその道の大先輩の女に出会ったのならば、正面から組み合って自分が負けると言うことも大歓迎であるが、男は何もしないで寝ていると女があれこれ刺激してくれる、男が射精する時に女は感じていない、まさに体を貸しているだけ、と言うことなのだろうか。
ただし、別の男がどうしているか、すべからく調べた訳ではない。風俗嬢も、お気に入りのいい男が現れると、本気になって楽しむのかも知れない。もてない男の俺には分からない世界だ。
情けない風俗通い
「俺が出会った数少ない女性を相手にあれこれ努力してもうまく行かない」
「それどころか今まで出会った女はロクなのがいない」
「それが統計的事実だ」
「だから仕方なく風俗に行ってみた」
「だが、それでも大して楽しいことがない」
僅かな楽しみを得る為に金を使って風俗に行っても、それでもうまく行かない。大して大それたこと求めているつもりはないのだが、めくるめく様な快感はないのだ、一緒に行く女はいないのだ、悶えよがる声や姿態をあらわにする女はいないのだ。雰囲気だけでも、流し目とか、お喋りとか、仕草とか、セリフとか、喋り方とか、立ち居振る舞いとか、腕を回してくるとか、寄り添ってくるとか、雰囲気作りのうまい女はいないものかと思ったのだが、ついにいなかったのだ。
思いを満たしてくれる女が風俗に行けば、100人の内にいるのではないかと期待して通ったのだが、残念ながら出会いはなかったのだ。情けない風俗通いだった。だから辞めたのだ。
体験の一部
セックスというと、もう情報過多のようだが、話題を盛り上げる為に、もうちょっとだけ乏しい経験を披露してみよう。
テクによる悶絶というと、本当に手技・口技だけで行かせる女がいた。他にも、アナルなめ、前立腺刺激、マットローションなどがあるがそれ程ではなかった。テクの中で一番良かったのは、根本まで入れるフェラであろうか。この時は、喉の突き当たりに亀頭がぶつかり、女の鼻が下腹に当たり、根元を唇で締めてくれた。最後は、女の頭を両手で押さえてこっちが腰を振って、射精すると美味しそうに飲んでなめて仕上げてくれたのだ。これが一番の感激モノだった。
反応というと、体温が上がるとか、鼓動が高まるとか、顔が上気してくるとか、ビクッと身体が動くとか、もだえる声を挙げるとか、しがみつく様に抱きついてくるとか、目が潤むとか、欲しがるとか、握ってくるとか、こっちの頭をかきむしるとか、布団を強く握るとか、足を強く絡ませてくるとか、本当に出会わないものだ。風俗となるとなおさらいない。
そう言えば、位置を変える時に腿なり恥骨なりがクリにあたると、ウッともだえた女がいたのだが、それは一人だけだった。もだえ声も、ホテルで聞いたような声を出す女はついにいなかったな。
次は、AFかな。これはまだ回数が少ないので、良く分からないうちに風俗通いが終わってしまった。