江口征男

 12日の衆議院予算委員会で3番目に質問に立った、与謝野馨元財務大臣(自由民主党・改革クラブ)が、品性の低さを露呈してしまった。
 
 いきなり、「わたし、最近ヤクザ映画をいっぱい観ますがネエ~」と言いながら、鳩山首相をヤクザの親分呼ばわりするかのようだ。さらに、「言霊」というオカルト表現まで使って怪しい空気も醸し出した。先の衆院選で小選挙区に落選した恨みを表現しているように見えた。
 
 自民党の中では、加藤紘一さんらと共にその立ち居振舞いに好感を持っていただけに、本性を露呈してしまった与謝野さんにはがっかりした。本当はその程度の人だったのだ、と。
 
 加藤さんが質問したときは、与党を追及しながらも、そのことが長年にわたる自民党中心の政権運営に跳ね返ることを十分認識していることが窺えた。気まずそうに、恥ずかしそうにも見えた。そんな様子に加藤さんの人間性が透けて見えて、シンパシーすら感じたものだ。
 「加藤の乱」をやり遂げていたら良かったのになあと、今更ながら思った。
 そう言えば、「大将なんだから」と肩を揺すって止めに入ったのは谷垣禎一自民党現総裁だったというのは皮肉だ。
 
 与謝野さんは、加藤さんとはまるで違っていた。どこかの元首相の顔マネのように、口の端をひん曲げて大見得を切った。下手な素人歌舞伎のようだった。
 その上、同僚の鳩山邦夫議員との私的会話から自分に都合のいい部分だけを取り出し脚色し、他党とはいえ鳩山邦夫氏の兄と母親を攻撃したのだ。
 自身にも自党にも、先がないことを自覚した上での自爆テロとしか思えなかった。
 
 それにしても、こんな質問をさせたのはいったい誰なのか。川崎二郎国会対策委員長か大島理森幹事長か。
 まるで、大きくしようと転がす度に汚くなる泥だらけの雪だるまのように見える。
 
 こんなことをいつまでやり続けるのか。よしんば、民主党政権が崩壊しても票は自民党には戻らないだろうに。
 その時は、「いのち」や「友愛」をもっと大切にする? 日本共産党に票が流れるかもしれない。民主党の腰が砕けたまま続くのなら、それも良いかもしれない。
 
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