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no title
目を開けた時、目の前にあったのは髭だらけの顔だった。その顔は私を見てにっと笑った。
私はかすれた悲鳴をあげながら、這うようにしてその場を逃れた。相手はその場を動かなかったのだけど、私は逃げるのに必死で気付かなかった。そして私の逃走は、目の前に海が広がっていることに気付いて砂浜で動けなくなるまで、ほんの数メートルしか続かなかった。
「残念だけど、その先は行き止まりなんだ。」
木の間からゆっくりと現れた彼が、私の背中に向かってそう言った。
「僕の言葉、分かる?」
そう言われたが私はまだ返事もできず呆然としたままだった。それから彼はおそらく同じことを違う言葉で何度か繰り返したんだと思う。彼があきらめて黙ってから、ずいぶん経ってようやく私が口にできたのはたったの二言だった。
「ここ、どこ?」
「いわゆる無人島だよ。」
それが、フライディとの出会いだった。
- 更新日:2009-04-26 09:05:45
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