【コラム】事件よりもあきれるネット上のコメント(上)

 慶尚北道慶州市で先月初め、女子高生が行方不明になったとされた事件について、本紙の電子版「チョソン・ドットコム」は今月4日、続報を報じた。17歳の女子高生「キム・ウンビ」が、実際には家出した21歳の女性で、身分を偽って自分の足で慶州市の児童養護施設を訪れ、高校に入学し、4年後に両親が住む首都圏の家へ戻ったという内容だった。

 その後、この記事に付けられたコメントには、この女性に対する非難・中傷に近いものが少なくなかった。これまで多くの人々が、「女子高生キム・ウンビさん」の安否を気遣い、無事を祈ってきただけに、多少の批判はあってもおかしくないが、あまりにも度を超えていると言わざるを得ない。また、ほかの主なウェブサイトで、この事件の記事に付けられたコメントも、新聞に掲載するには不適切なほどひどいものだ。こうした低レベルなコメントは、これといった論理を掲げることなく、自分が嫌う政治家に非難の矛先を向けているという特徴がある。高校生に成り済ました家出女性に対する非難が、李明博(イ・ミョンバク)大統領や与党ハンナラ党の朴槿恵(パク・クンヘ)元代表への非難に直結する現状は、まったく理解に苦しむものだ。

 4日にはある女性歌手が、テレビ局のインタビューに対し、「ある大統領経験者が自分のファンだった」と答えた。その後、これを報じた記事に付けられたコメントは、この歌手の人格を攻撃するものが過半数を占めた。この歌手が大統領経験者に好感を持ったというのではなく、大統領経験者がこの歌手のファンだったというだけだが、この歌手には「概念がない」という非難が寄せられたのだ。

 チョソン・ドットコムは、記事に付けられたコメントについて、「誹謗(ひぼう)・中傷」「侮辱的な内容」「公序良俗に反する」「虚偽の事実」「商業広告」といった基準に基づき、5-10%は削除している。だがそれでも、チョソン・ドットコムのコメント欄が健全だとはいえないのが現実だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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