検事室放火事件、元警察官に懲役5年

 全羅北道全州市の全州地検の検事室が放火された事件の裁判で、全州地裁は10日、放火罪で起訴された全州徳津署の元警査(44、巡査部長に相当)に懲役5年の判決を言い渡した。

 昨年2月16日早朝、全州地検新館2階の検事室が焼けているのが清掃員によって発見され、警察は別の汚職事件で取り調べを受けていた元警査を同月24日に逮捕した。

 元警査は犯行を全面的に否認したが、検察は放火現場に落ちていた使い捨てライターと地検の裏山で発見された覆面、手袋などから元警査のDNAを検出し、それを証拠として、昨年3月に元警査を起訴した。元警査は裁判でも、検察が放火時刻と断定した時間帯に妻が経営するのり巻き店の従業員を送迎した後、自宅付近の商店でビールを購入し、車内で飲みながら店の帳簿整理をしていたとして、一貫して起訴事実を否認した。また、ライターに関しても、事件前に検事室で取り調べを受けた際に忘れてきたものだと主張。さらに、本人の同意なく違法にたばこの吸い殻や毛髪を採取し行ったDNA検査の結果を証拠として認定することはできないと訴えた。

 17回の公判の末、全州地裁は「被告が放火時刻にビールを購入したという店に関する供述が変化している上、夜間に狭い乗用車の中で帳簿を整理したという主張も信用できない」と指摘。その上で、被告が使用したとみられるライター、付近の山で発見された覆面、頭巾、手袋などからみて、被告が現場にいなかったとの主張は受け入れられないと判断した。同地裁はまた、「適法な手続きを経ずに採取された証拠は原則的に有罪の証拠とはならないが、この原則が刑事事件における正義実現に反する結果を招く場合は例外だ」とした。

全州=金昌坤(キム・チャンゴン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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