フロアマットに引っかかった状態のアクセルペダル(右)。今回のリコールでペダルを短いものに交換する=NHTSAのホームページから
高級車レクサスが米国で暴走し、乗員4人が死亡した事故に関連し、トヨタ自動車は、アクセルペダルをフロアマットに引っかかりにくい形のものに交換するリコールを実施する方針を固めた。日本時間の25日夜にも米国で発表する。
対象は、米国で販売したトヨタブランドのプリウス、カムリ、アバロン、タコマ、タンドラと、レクサスブランドのESとISの計7車種約400万台になる見通し。9月29日にトヨタが暴走の危険を警告した際には約380万台としていたが、その後の販売車両も含める。
トヨタは当初、フロアマットを適切に固定しなかったり、二重に敷いたりしなければ問題は起きないと主張していた。しかし、10月に入り、「事故が発生する危険性を減らすため、車両本体を改良する」との意向を米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)に伝えていた。
リコールでは、アクセルペダルを短いものに交換。床板との距離に余裕を持たせ、フロアマットがずれたり、二重に敷かれたりしても、引っかからないようにする。リコール費用は数百億円規模になるとみられる。
また、トヨタはアクセルと同時にブレーキがいっぱいまで踏み込まれた場合、電子制御でアクセルを解除し、ブレーキの作動を優先する装置の導入や、エンジンを緊急停止する操作を分かりやすくする方法についても検討しており、併せて対策に盛り込まれる可能性がある。
今回のリコールは、8月下旬に米サンディエゴ市郊外で、レクサス「ES350」が暴走し、4人が死亡した事故が契機となった。
ES350は07年にも同じ問題でフロアマットを交換するリコールを実施。トヨタはあくまでもフロアマットの問題としていたが、今回は、車両本体の重要部分であるアクセルペダルをリコールせざるをえなくなった。
トヨタは、日本など米国以外で販売した車については、「北米のような厚みのある全天候型のフロアマットは販売しておらず、現時点で問題があるとは考えていない」(幹部)としており、リコールする予定はないという。