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きょうのコラム「時鐘」 2010年2月16日
ヤクザ映画が紹介されて「子分」などという言葉が21世紀の民主国家の議事堂に飛び交うのは困ったものだ
鳩山首相と母親の間で「子分に配るお金がいる」との会話があったと伝わる。首相は否定しているから事実か否か不明だが、実弟の口から出た証言は重い。政治家に師弟関係はあってもいい。だが「親分子分」では比喩(ひゆ)を通り越している。はからずも政界の裏を見た思いである 「一票の格差」がしばしば指摘される。選挙区によって有権者の一票の重みが違う現実を言う。が、親分クラスの議員を選ぶのも一票、子分も一票だ。チルドレン、ガールズなどと呼ばれて一人前扱いされない議員がいるなら、それも一種の「一票の格差」といえまいか 「議事堂とは名ばかり。実は表決堂である」とは憲政の神様と呼ばれた尾崎咢堂の言葉である。時勢に流されず、大物議員にも臆(おく)せず議論できる議員が少なくなった。一票に格差のない採決時だけ存在意義のある議員には耳の痛い言葉である まして、カネをはさんで親分と子分がいて、その親分よりも強い本物の親分がいる政界など、もってのほかだ。 |