金沢大医師がヤミ移植業者と面会 患者の中国渡航めぐり 2010/1/13 02:10
日本移植学会に所属する金沢大病院(金沢市)の男性医師が、海外での臓器移植を違法に仲介している疑いがある業者(49)と同病院内で面会、入院中の男性患者が中国で「ヤミ移植」を受けられるよう協力を依頼されていたことが12日、金沢大関係者への取材で分かった。
医師は「上司から『法的に問題がある』と指摘され、依頼は断った」としているが、業者は共同通信の取材に「医師は協力の意向を示し、具体的な手続きの検討に入った」と証言、両者の言い分は大きく食い違っている。事態を重視した金沢大は、施設内で業者と接触に至った経緯なども含め、事実関係について調査に乗りだし、12日夜になって「協力の事実はなかった」とのコメントを出した。ただ、具体的な根拠は明らかにしていない。
中国の移植医療をめぐっては、日本移植学会が倫理指針で禁じる「死刑囚からの臓器摘出や臓器売買」が指摘され、金沢大も「中国の移植に関与することは学会の倫理指針に反し、臓器移植法上も問題だ」としている。
業者は神奈川県在住の男性。加藤紘一・元自民党幹事長に中国の移植医を招いた研修を日本で実現させるよう口利きを頼んだことなどが明らかになっている。
【写真説明】 金沢市にある金沢大病院=09年12月