+物語+

医療が異常なほどに発展してしまった遠い未来。
完璧な医薬品の生産により、自らの存在価値を無くしかけた医師団は『機関』という一つの組織を作り
自分たちの利益のために全開不可能なウィルスを精製し世界中に撒き散らした。
全ての人類の命を人質とした機関の暴走は誰にも止めることは出来ず、
世界中が今まで見たことも聞いたこともないような奇病を患った人で溢れかえることになる。


余命僅かの彼らに残されたのは素晴らしい化学者が開発したという、
たった1つの完全なる延命装置。
最初は多額の金でやりとりされていたそれだが、
ある日その延命装置を手に入れた富豪がいとも簡単に暗殺され
延命装置を奪われてしまったことにより、世界はさらに混乱し始めた。



「命を粗末にしないように。」

鬼の姿をした、心優しい少年は
恐ろしいほど当たり前なことを、それでも訴える。




+DL+




+登場人物+

大国主神 紅葉
(おおくにぬしのかみ くれは)

延命装置を手に入れたのに暗殺されてしまった資産家の息子。大国主神家、現当主。
わずか12歳の子どもだが、父親が死んでも弱みを見せることはなく、気丈で強か。
尖突癬(せんとつせん)という皮膚が角のようにどんどん尖がっていってしまう病気を患っている。
額の皮膚が尖がってしまった際の弊害で目の周りの皮膚が硬化していて、目を開けることが困難。
ほぼ盲目の状態で生活をしている。
楓(かえで)という母体のウィルス感染に伴う突然変異によって生まれた
人並みの脳を持ち人の言葉を話すことが出来る闘鶏を盲導として飼っている。
牛頭馬頭
(ごずめず)

紅葉に雇われている傭兵。この世界では珍しい無病者。
無病者であることがバレると元機関所属者と勘違いされ面倒なことになるので、
とりあえず紅葉にネコミミを付けさせられている。
さらに楓の嫌がらせで衣服を全てメイド服にさせられた、哀れな強面の青年。
ぶっきらぼうな性格で何事にも無頓着だが、根は優しく常識人の大人。
武器は日本刀で強さは中の上程度。
ROSA
(ロサ)

薔薇病(そうびびょう)という、体毛は薔薇の花びらに、体は蔦になっていく奇病に掛かっている少年。
気弱で大人しい立ち振る舞いをするが、自分の命に人一倍固執していて、
自分が死なないためなら何でもする怖さも持つ。
そんな性格のため常日頃から理不尽な言い分が多い。
武器は棘付鉄球。強さは紅葉たちの住む界隈では、一応の最強。
独り言が多く、【先生】という謎の存在を愛している。
チルチル・ミチル兄弟

医療機関がバラ撒いたウイルスでも特に厄介だとされている悪魔熱(あくまねつ)に
そろって感染してしまった不幸な兄弟。大柄な方が兄。
悪魔熱とは熱で骨格が変形し、体が化物のような形になっていく難病で、
体の変形には規則性もない。
初期段階では単なる悪魔憑に見られ、教会で間違った処方を受けるとさらに悪化してしまう。
この2人はその一例。
弟のミチルは辛うじてまだ意識があり、強気で好戦的な性格をしている。
兄のチルチルはもはや完全に脳の方まで熱にやられていて、
言葉を話すこともなく何を考えているのかも不明。
しかし兄弟仲はかなり良く、お互いがお互いを大事にし、愛している。
ナイチンゲール

かつて行われた宗教戦争にて単身で敵陣に挑み、勝利をもぎ取った宣教師。
「神は自分達を見捨てない。
自分が延命装置を手に入れたら、幼馴染みとともにそれを量産し、
全ての人を救って見せます。」
という言い分で、世界を巡り着々と信者を増やしている。
普段はおだやかでおしとやかな宗教人を装っているが、時折ドス黒いオーラを出す。
無関節症(むかんせつしょう)を患っていて、
骨が変形し全ての関節が全方向に曲がり、安定しない。
ドクター

ナイチンゲールの幼馴染みの科学者。
甘いものが大好きな、呑気で楽天家な天才。
亡骸化症候群(きたいかしょうこうぐん)という
生きてはいるのに体がどんどん死んで行ってしまう奇病にかかっていて
その生命活動の9割を補助機械で補っている。