2010年02月10日 [16:01] 外伝小説etc 

漆黒の狂戦士 影と闇の狭間で・・・ Part2

前編・後編でお送りさせていただこうと思ってましたけど・・・
前編と後編の長さが違いすぎる気配があってやめました(´゚ω゚):;*.':;ブッ
半端になりますが続きです!

漆黒の狂戦士とかつての仲間。そしてルナ・・・
シェナロダ達はどうなっていくのか!
その目で御覧あれ!

帰宅中に気づいてくれればいいけどながお〜(〜´Д`)〜












世の理が通用しない、そんな空間に違和感を感じさせる。
空に浮かぶ雲のような赤と黒いような空が果てなく続き、2つの色は模様のように絡み合い、人のおぞましい顔にも見たと思えば消えていく。
重力という縛りもなく、全員浮くように構える。
「こ、ここは・・・?」
真っ先に口を開いたのはロキアルドであった。
マルゴーと2人で辛うじて忍頭を倒し、シェナロダに合流しようと来た矢先に視界を奪われ、気づけばこの現状に動揺を隠しきれていない。
シェナロダは全てを分かっていたかのように、殿以上の力が放たれる方向に構えていた。
また、マルゴーも構えるがその側には2人の女性がいて、盾になるポジションにいた。
「なんでここにいる!?」
シェナロダはかつてないほどの叫び声をあげる。
「ご、ごめんなさい・・・」
その声に反応したのは、黒い帽子と服を纏った女魔法使いである。
「ろ、ロキアさんから連絡があって・・・」
「イオのせいじゃない・・・それに私も同じ考えだった」
マルゴーはそのイオという女性のフォローをする。
とんでもない状況で、かつて体験したことのない状態であるのだ。
誰もが緊迫する中で真っ先に行動したのは、ルナと呼ばれた女性であった。
まともに動くことも叶わない、空間を魔法のテレポーテーションで巧みに動きシェナロダの側まで飛んだ。
「馬鹿ッ!!」
ルナはそう叫ぶと、平手打ちしたがシェナロダはそれをかわす。
シェナロダは視線を彼女に向けることなく呟いた。
「ルナだけは・・・これ以上巻き込みたくなかった・・・」
「茶番は終わったかね?」
その言葉は、空間の中に響き渡るように全員の耳に入る。
「私の時間はあるんだが、君達のために割く時間は1秒すら惜しいのだがねえ・・・」
不気味なほどに放たれる禍々しい巨大な力は、シェナロダとマルゴーの構える先にいる者からであり、この声も同じ者からであることは分かる。
不自然にその男の周りには磁場でも発生してるのか、不気味に本や研究機材のような物が浮遊しながらも、その配置を維持していた。
「お、お助けください・・・」
声にならないような声で弱りきった殿が懇願するように、その者に近づく。
「ああ、君も試験体の1匹だったね? 無様なまでに見事にやられているね・・・」
「ど、どうか・・・もう一度に新しい肉と力を・・・あ、暗黒の魔術師様・・・」
その名前を聞いて驚愕した。
先の大戦を起こした、凶悪な魔法使いであり封印されているはずの存在が目の前にいる。
だが、シェナロダだけは全てを知っていたかのように落ち着いていた。
驚愕していたルナの手をとり、腕力だけでマルゴーとイオのいる方向に飛ばした。
無重力だけあり、ルナの体は流れるように2人の元にいき、マルゴーが優しく受け止めイオにルナの身を委ねた。
「シェナロダ・・・狙いはこいつだったのか・・・?」
ロキアルドが問いかけると、シェナロダは黙って頷いた。
「リビドー! 契約を果たせ!!」
シェナロダは嘗てないほどの殺気に身を任すように叫び上げる。
同時に放たれるドラゴンロアには、禍々しい力が混じり合い、攻撃対象ではないルナ達にまで恐怖させ、殿と暗黒の魔術師には攻撃として衝撃波が襲い掛かる。
殿は直撃し、皮膚を切り裂かれ、纏っていた服は血の色で赤黒く染まる。
だが、暗黒の魔術師は何事も無かったかのように振舞う。
その表情は、集る小虫を追い払おうとするような・・・
次の瞬間に弾丸のような勢いで暗黒の魔術師をシェナロダは貫いた。
槍の刃先を高速に回転させ、リビドーがシェナロダの背中に寄生したかのように体に繋がっている。
背中のリビドーの羽は巨大化し、シェナロダの羽のようになった。
「ほぉ・・・黒龍とか・・・」
体を槍が貫いてにも関わらず、動じず淡々を発せられる声には余裕を感じさせる。
だが、シェナロダもこの一撃で決まったと思っていない。
「やれっ!!」
シェナロダが首を左に倒すと、背中に寄生していたリビドーが暗黒の魔術師に向かって口を開き、灼熱の紫色の光を放った。
それは暗黒の魔術師の顔面を捉え、その光に押され吹き飛んでいく。
しかし、その光の攻撃は暗黒の魔術師に直撃したままで、力に押されていく様は力なき人形のようである。
だが、この灼熱の攻撃を受けても消滅しない暗黒の魔術師はまさに化物であろう。
「た、倒せるのか!?」
ただ、剣を構えることしかできない自分に歯がゆさに苦渋の顔をするロキアルドがシェナロダに声をかけた。
そして、その隣でルナとイオを自分の後ろにし盾になるように構えるマルゴーもまた同じである。
「倒す!」
その声と同時にリビドーの攻撃は終わり、またシェナロダは羽を使い弾丸の如く突進した。
4人を遥か後方にし、シェナロダは本気を出せる環境を作ったのだ。
リビドーもそれを理解していた。
リビドーはその巨大なアギトでシェナロダの右肩に噛み付いた。
すると、右肩から皮膚は黒く染まり見つけていた鎧ごとリビドーが寄生していった。
不気味な装甲となった鎧の中にあるシェナロダの腕には竜と己の肉体を融合したことによって起きた拒絶反応により、激痛が走る。
だが、負の感情に身を委ね、それでも理性を失わない精神と魂には全くの問題にならず、激痛により体力の増減になく右腕でバーサクを放ち続けるようになったのだ。
無論、人間の限界であるマンポイントすら無視した無謀ともいえる闘い方である。
通常の人間なら先の激痛でショック死となってる程であるが、リビドーはシェナロダのダークスピットをも取り込んでおり生命維持の役割も果たし、脳内麻薬の分泌を異常なまで高めることと、シャナロダの屈強な精神力で耐えているに過ぎない。
「お前の魔力を全て! 貫いてやる!!」
フードは既に消滅し、光線で頭部は火傷しており、皮膚が爛れている暗黒の魔術師に槍を深く突き刺した。
左手でその頭部を掴むが、爛れた皮膚に滑る。
その刹那、シェナロダは指を両目に指し込み、親指は口に差し込んだ。
常軌を逸した闘い方ではあるが、狂戦士となった彼は勝つ為には手段は選ばない。
ただ、シェナロダは完全に堕ちてはいなかったのは事実でありが、今堕ちようとしてるのもまた事実であり、シェネロダ本人もリビドーもそれに抗うことをしない。
そして、その狂気の沙汰で行われる攻撃全てを受けてもなお、無抵抗の暗黒の魔術師の体は、既に肉の塊となっていた。
左手に握られた頭部の下にあった肉体は、右手の槍によって執拗なまでの攻撃を受け続け、体の形ではなくなっていた。
「見事な攻撃だ・・・撒いたのを忘れていた種が見事なまでの実を実らせたとなれば申し分ない喜びだよ・・・」
ボロボロになった頭部の顎は微かに動く程度にも関わらず、ハッキリとした声が響いた。
シェナロダもそれがその頭部から発せられたことを理解し、放り投げ最大の攻撃力を発揮しようと槍の構え、バスターにてその頭部を粉砕した。
シェナロダの技量に、リビドーとの融合によって発生する魔力が加わったバスターの3連の突きは細胞の1つすら残すことを許さず、鋭い突きというアギトは喰らい尽くした。
これで全てが終わったと思ったシェナロダとリビドーは4人が待つ所へと飛んだ。


「イオさんやはり無理か?」
「は、話かけないで! 集中してるから!」
この浮遊の感覚にもなれ、移動することも少しではあるが4人も出来初めていた。
イオはこの異空間から脱出するためにミスティックドアを開こうとしていた。
ロキアルドの思いつきではあるが、なにもできない現状では出来る事をやろうと4人はしていた。
無論シェナロダの後を追いたかったが、闘うにしても敵地であの暗黒の魔術師を準備もせずに挑むのは無謀だと判断したのだ。
「やっぱ、意識を外に飛ばせない・・・」
失敗し消沈するイオにマルゴーが声かける。
「イオ。君だけが頼りだ・・・大変だろうが・・・」
「任せてください!」
マルゴーが声をかけた瞬間またやる気を出してやり直すイオ。
「ルナさん・・・」
ロキアルドはルナを気遣い話しかけようとする。
「大丈夫・・・気遣いはいらないよ。無事に生きてるって分かっただけ・・・」
行方不明だったシェナロダを見つけての安堵と、今そのシェナロダは1人で暗黒の魔術師と対峙している不安。
相反するような2つの感情を1人で御することは、この状況下でなくとも大変なことであろう。
これ以上不安要素を出さないようにと必死に耐えているルナに、何もできない己に歯がゆい3人もまた辛い。
「マルさん・・・悪いな・・・」
「どうした? ロキア」
いきなりの謝罪の言葉にマルゴーは理解できなかったが、ロキアルドが手にする物ですぐに察した。
「ルナさん。イオさん。いざって時はこれを使ってみてくれ。場所の設定はシュウレイの故郷だ」
ロキアルドが2人に差し出したのは蒼く光る特別なテレポートストーンであった。
「数は残り2・・・女性を優先ってことだ。あと最悪シュウレイによろしく頼む」
「な、何言ってるんですか!? 帰りを待ってる人がいるですからロキアさんが使うべきです!」
イオを反発するように叫ぶ。
「ロキアの気持ちも察してやれ・・・それにルナさんを1人で帰すわけにはいかない。わかるな?」
マルゴーは宥め諭すように言うと、言い足りない顔をするイオは黙って頷いた。
「まあ、最悪使うことになればだ・・・だからな」
そんな会話の中、1つの力がこっちに飛んできた。
マルゴーとロキアルドは慌てて構えるが、それは異形の鎧を纏ったシェナロダの帰還であった。
「終わったよ・・・全部・・・」
そうルナの顔を見ながらシェナロダを言った。
「お、おかえり・・・シェナロダ」
涙を流しながらも笑顔でルナはそう言った。
「ただいま・・・ルナ・・・」
そう言い終わり、ルナの顔を見入るシェナロダに突如として現れた存在がぶつかり、ルナの視界から消えた。
それは禍々しいオーラの塊のような、まるで幽霊のように人のような形となったモノである。
「よく我新しい肉体を消し去ってくれたな・・・復活までにまた時間が掛かってしまうではないか?」
それは暗黒の魔術師の魂と精神というべきモノである。
「今は仮初めの体・・・私の魔力を具現化してるといったところかな」
禍々しいそのオーラは人の形から異形となり、まるで触手のようにシェナロダに絡み付く。
「き、貴様・・・」
「先ほどは随分とやってくれたな? 不死とはいえ・・・痛みは感じるんだ・・・仕返しはさせてもらおうか?」
シェナロダの脇腹にいくつもの触手が突き刺さり、鈍い音が響く。
マルゴーがすぐさま、ホーリーチャージのブレストを放ち、暗黒の魔術師を貫く。
その攻撃で暗黒の魔術師はシェナロダから突き離され、間髪入れずホーリーチャージのかかったパルチザンでバスターを連続した。
聖なる力を持ってすれば、確かにアンディットのような存在にもダメージが期待できるからの判断であり、それは正解であった。
「ほぉ・・・これはまた・・・伝説の英雄の由縁があるものがいるとはねえ」
攻撃を受けながらも、舐め回すようにマルゴーを見た。
「類は友をか・・・貴重な人材の周りにはやはり良い人材が集まるのだな」
そして、動きを止めた暗黒の魔術師の背後に回り込んだロキアルドも、斬撃を放った。
「ほぉ・・・こいつも面白い・・・魔剣に魅入られた者か・・・」
ロキアルドのグリュンヒルを見終えたら、4人との間合いを取る。
「面白いサンプルばかりだな・・・よし、お前らは帰してやる。私が完全に復活する時までに、頑張って励むのだな・・・」
だが、シェナロダも4人も敵の言葉を真に受けることは決してせず、警戒し構えた状態で暗黒の魔術師との均衡を保った。
「ならここで1つ、余興でも・・・面白い話を見せてやろう」
暗黒の魔術師はそう言うなり、シェナロダの頭を指差す。
シェナロダの表情は一瞬険しくなったかと思えば、すぐに意識を失った。
「何をした!?」
ロキアルドの咆哮が木霊した瞬間には、全員の五感は失われていた。


眩い光が当たりを照らす。
さっきまでいた異質で冷たい空間ではない。
ここはヘネシスの中である。
温かい日差しで、五感が再び戻ったことを感じとった。
「ここは?」
イオはさっきまでの出来事をリアルに覚えており、ヘネシスの光景が見えるがそれを事実として認めることを危惧し慎重に観察をし始めた。
まわりには大勢の人間が慌しく動き回っている。
「これは・・・あの時?」
「イオもそう思うか?」
イオが声したほうを振り返るとそこにはマルゴーがいた。
「あの時の光景だ・・・おまけに私達もそこにいるぞ」
マルゴーが示す方向には、1枚の紙を何度も小さい声で読み返すイオと、その隣でプレゼントと思しきワインを確認しているマルゴーの姿だった。
「やはり、これって・・・」
「過去の話なのね・・・」
そして、ルナとロキアルドも姿を見せた。
「恐らくだが、これはシェナロダの記憶からの再現だろう」
ルナがそう口にすると、あの声が聞こえてきた。
「正解だ・・・お前達にも見せてやろう。私の実験の1つをな」
暗黒の魔術師の声が途切れた後、風景は映画のように切り替わった。
シェナロダは、牧師の前でルナが現れるのを今か今かと待ちわびている時である。
教会の中は祝福しようと駆けつけた多くの人で満員となっていた。
「私はこの時、ギルドの仕事で遅れて・・・外で待っていたんだ・・・この後に一体何が?」
ルナはお色直しで、状況は無論知らない。
この式場に参列していた、マルゴーとイオは知っているはずだが、今日までそれは黙っていた。
無論、ルナやロキアルドが何度も問いただしても答えなかったことから、普通ではないことが起きたのだろうと察してはいた。
ルナの登場を今か今かと待ち侘びている中、その事が起こった。
1人の盗賊が立ち上がり、手にしている紅い肉の塊のような物に自分の血を浴びせ、高くそれを掲げた。
誰もが、ルナのお色直しが終わるまでの余興と思った。
何が起こるのかという期待まであったのだ。
だが、シェナロダだけは違った、そんな話も聞いておらず、またルナの知人関係も把握しているだけに、参列者ではないと分かったのだ。
シェナロダは慌てて、その男の元へと駆け寄る。
そして、本物の流れ出る血の匂いは教会に充満するまで時間はかからず、ほかの人間も余興にしてはと疑問を持ち始めた時であった。
「さあ、ショーが始まるぞ。見ておけ・・・祝福の中で行われた殺戮だ!」
男が叫ぶと、紅い肉の塊は風船のように膨らみ、次の瞬間には男を飲み込んだ。
男のは紅い肉に包まれるようにそこに倒れると、その表面からは多くの触手が現れたのだ。
触手は、参列者を次々と突き刺していく。
男の倒れた周辺にいた人間は精気を吸い取られ倒れていく。
そして、教会はパニックになった。
大勢は我先にと出口からでようとかけだし、人に寄っては窓を突き破って逃げていく。
シェナロダは、近くにあった儀式用の蝋燭立てを槍代わりに突撃し、その異形の者を止めようと攻撃をした。
そして、歴戦のダークナイトだけあり、蝋燭立てではあるが致命傷を与える。
死にかけたその異形の者は苦し紛れに、シェナロダに攻撃をしかける。
無数の触手を回避し、再び攻撃しようとした時に、教会の床を突き破った1本の触手がシェナロダの腹部を襲う。
不意の攻撃に倒れ込むシェナロダが苦しみ、胃液を吐いた。
その瞬間に触手の1本が口の中に指し込み、紅い肉のような物質はシェナロダの体内に入ろうとしたが、マルゴーのセングチュアリという聖なる鉄槌が押し潰し、イオが召喚したバハムートが放った灼熱の炎で残った肉片を消滅させた。
「何が起きたんだ・・・」
今のロキアルドと過去のマルゴーの声が重なる。
教会に所属する人間がシェナロダと精気の吸われていった人間の手当てをし始めた。
シェナロダだけはすぐさま、教会の別室に運ばれていき、イオはそれに付き添っていく。
そして、マルゴーは教会に慌てて入って来たロキアルドとその関係者に、式の中止する旨と周りのパニックを収めるように願いでた。
「あの紅いのは・・・」
「そうだ・・・私が愚かな人間にくれてやった実験道具【堕天使の子宮】だ」
ルナの問いに暗黒の魔術師が答える。
「詳しいことは今から分かる」
シェナロダの意識が戻り、風景はそこに変わる。
教会の奥の部屋にシェナロダは拘束服を着せられ、更に鎖で服の上から縛られていた。
「なんだ!? これは!?」
そして、そのシェナロダの周りを囲むように4人が立ち尽くしている。
そして、赤いローブの女性が声を出す。
「貴方は魔に侵されました・・・」
「お前はここで選ぶのだ・・・」
「君はここで良き者とし死ぬか・・・」
「貴公は闇の中で、己の復讐を果たすか・・・」
いきなりの問いかける内容のも驚くが、それを言ってきたのがエルナスの4長老のロイベラ・タイラス・アレク・レネだったことにもシェナロダは驚愕する。
「それだけで状況が分かるわけがないだろう?」
冷静にシェナロダは問い返した。
すぐさま、タイラスは手袋をするとシェナロダの口を開かせて、舌を引っ張りだした。
「ふぁみをふうう(何をする?)」
タイラスが舌を持つ手を、アレクが鏡に移す。
シェナロダの舌には異様な紋章のように烙印が刻まれていた。
「そいつは、闇の狂紋と呼ばれる類だ・・・無意識に闇の悪霊・魔物を寄せ集めてくるぞ」
レネがそう説明すると、暗闇の中に光が差し込んだ。
扉を蹴破って、女が1人入ってきたのだ。
「暗黒の魔術師関連の話なら逐一私に報告するのが約束だろ?」
逆光によって、すぐに判別は出来なかったが、そこに居たのは海賊団のトップである女海賊のカイリンであることがシェナロダにも分かった。
「こいつは死して終わるより、絶対生きて戻ることを望むに決まっている。くだらない前置きはやめろ。これだから年寄りってのは・・・」
カイリンは文句を言いながら、拘束されたシェナロダを担いで出て行く。
「こいつに直接見せてやる・・・あとは私が引き継ぐから年寄りは年寄りの仕事をしててくれ」
「おい! おい!」
シェナロダの叫び声を意ともせず、連れ出していく。
そして、教会の反対側にある墓地の近くまで来たら、夜の闇の中に投げられ、地に落ちる前にカイリンが銃から放ったラビットファイアで鎖と拘束服は粉砕された。
シェナロダは受身をとり、その場にすぐに立ち上がる。
上半身の裸であり、下半身には式で身につけていたズボンだけとなっていた。
「何を見せるっていうんだ?」
その問いが答えられる前に、不気味な光がいくつも現れた。
「お前にしか見えないだろう? 私には感じることしかできない・・・」
シェナロダはすぐさま、落ちていた枝を拾って、それを武器の代わりとして迫ってくる光を打ち払う。
しかし、千切れた光はしばらくすると繋がり、またシェナロダへと向かってくる。
カイリンは隠し持っていた武器をシェナロダに投げつけた。
「そいつを使え、特注品だ。お前が以前強化失敗して処分したやつの1本を、偶然にもうちのセリルが改造した特殊なアルシュピス【天使落とし】だ」
受け取ったシェナロダは、あのアルシュピスがなぜこんなにも短いのかと疑問に思った。
「あ、すまん。柄にスイッチがあるはずだ、探して押して見ろ」
シェナロダは疑問に思いながらも、柄にある不自然な凹凸を触ってみる。
1つのボタンらしき部分に触れた時、石突きのほうから轟音と共に無数の銃弾が発射された。
そして、向いていた地面のほうは散弾により、抉られていた。
「あ、仕込み銃の機能もある気をつけて使うんだな」
「先に言ってくれ!」
そして、目的のスイッチを見つけたシェナロダは天使落としを通常のサイズへと伸ばし、迫ってくる光と蹴散らしていった。
振るっても突いてもてごたえを感じさせない。
素振りをしているような妙な感覚にも関わらず、迫り来る気配には恐怖と憎悪を感じる。
「今日からお前は、闇の狂紋を消せる日まで闘い生き残らなければならない!」
カイリンがその言葉を発した時には、全ての光は無に還っていた。
「だが、俺には帰るべき場所とそれを待つ仲間達だっている・・・」
シェナロダがそういうとカイリンは左手の手袋を外し、シェナロダの肩を掴んだ。
すると、カイリンの左手からは肉が焼かれる臭いと煙が発せられる。
驚きながらシェナロダはカイリンの手を払った。
すると、シェナロダの肩は何も異変はないが、カイリンの左手の皮膚は火傷をしたかのように水ぶくれと皮膚が爛れていた。
すぐさま、それにエリクサーをかけて傷を癒す。
「今のお前では、大事な仲間と最愛の女を悲しませることだけになる・・・お前の生存はセイラムの生まれ変わりには話している・・・」
シェナロダは自分の変異に驚き、その場に力をなくしたかのように座り込む。
すると、小さな光がまだシェナロダに近づいてきた。
小さすぎる光の悪霊はカイリンにその存在を気づかせない。
そして、シェナロダに触れた悪霊はその魂と精神を封じて体を乗っ取ろうとした。
「うわああああああああああああああああ」
シェナロダの異変に気づいたカイリンはエナジーオーブを飛ばし、その悪霊を粉砕した。
「お前はもう気を落とす暇も、まともに眠りにつくこともできない・・・」
カイリンのおかげでのっとられる前に正気に戻り、改めて自分の状況を理解していく。
「カイリン。あんたは色々と詳しそうだ・・・俺にもっと情報と力を・・・」
「ああ、着いて来いシェナロダ。教えてやる。暗黒の魔術師の存在とその力を。今一度言うぞ!お前は今から闇の中で、戻るために生きて闘うという事を忘れるな!」

Re Comments.

『』 
うふふ
続きが非常に楽しみですw
それにしても、よく色々
アイデアが浮かんできますね・・・(;゚ω゚)
次回で完結かな?
ワクワクして待ってますw
2010/02/13(Sat) 12:10:00 | URL | 江古田さん #-[ Edit.]
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