【上海=奥寺淳】中国当局に入国を拒否され、成田空港の制限区域内で3カ月寝泊まりして抗議してきた中国の人権活動家、馮正虎(フォン・チョンフー)さん(55)が12日、入国を果たし、上海の自宅に帰宅した。馮さんは昨年6月以来、中国入国を8回拒否されていた。
馮さんは同日午前、成田発の日本航空便で出発。上海浦東空港では大勢の警察関係者が出迎えた。馮さんは警察に連れられ、一般客とは別の特別通路から入国。その後、警察のワゴン車で帰宅した。
馮さんは「海外のメディアが私の問題を報道し、それが中国政府の耳に届いた。(中国政府が)正しい判断をしたことは、今後の中国に希望がもてる」と語った。
ただし、馮さんの自宅前の数カ所には数日前、新たに監視カメラが取り付けられるなど、当局による行動の監視が始まっている。
馮さんは1989年の天安門事件後に反対声明を出し、民間の経済研究所長の職を追われた。以後、民主化や人権活動を続けている。昨年11月から成田空港で中国への抗議活動を始め、香港の支援者らが食料を運ぶなどしていた。中国メディアは馮さんの抗議活動を一切報じていない。