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「鉄ヲタ専用車両でーす」 暴走する一部鉄道ファン (2/3)
2010年02月09日 07時00分 更新
死亡事故から犯罪まで 広がる迷惑行為の数々
車両を研究する「車両鉄」や鉄道写真を撮る「撮り鉄」、鉄道旅行を愛する「乗り鉄」、鉄道模型を楽しむ「模型鉄」…。さまざまなジャンルに派生するなど、間口の広い鉄道は、ファンも広がりやすいのかもしれない。
「最近は鉄道に熱中する従来のタイプだけでなく、女性をはじめ、幅広い世代で鉄道に愛着を持ち、親しみをもってくれる人が増えてきていると思う」
ある鉄道会社の関係者は、現在の鉄道ファンの現状についてこう解説する一方、次のように指摘する。
「それにあわせて迷惑行為も増加している」
鉄道各社で頭を抱えている迷惑行為は、ファン同士の撮影場所の取り合い▽鉄道敷地内への無断侵入▽係員のお願いや制止の無視▽鉄道施設に対する落書き、盗難▽記念撮影をする親子や一般利用客に対する妨害行為や罵声(ばせい)▽チケットやグッズの買い占め──などがあるという。
こうした行為の中には、ただ単に迷惑だけではすまないケースも多い。
平成20年11月には、神奈川県茅ケ崎市のJR東海道線の踏切で、遮断機の横の空き地に三脚を立てて写真の撮影をしていた男性=当時(47)=が、踏切内に倒れた三脚を直そうとして列車と接触し、死亡するという事故も起きている。男性は近く廃止される列車を撮影するために踏切を訪れ、カメラには事故直前に通過した列車が写っていたという。
さらには、廃車直前の車両の車号札や、行き先表示板(方向幕)などを記念に持ち帰る「盗(と)り鉄」と呼ばれる不届き者も後を絶たない。これは、窃盗という完全な犯罪行為だ。
ほかにも、正規の運賃を支払わずに不正乗車するキセル行為の方法や、自ら行ったキセル行為の数々をネット上で喧伝(けんでん)する者も現れているという。
鉄道各社は、対応に苦慮している。
「明らかに違法と思われるものには、しっかりとした対応をさせていただいている」と話すのはJR東日本。ただ、実際には、そうはうまくいかないようだ。
ある鉄道会社の職員が打ち明ける。
「迷惑行為といっても、正規の運賃を払っている以上、乗客であることに違いはない。危険だったり、違法だったりするならともかく、乗客同士のトラブルではあまり強くモノも言いづらい雰囲気はある。本来なら一般乗客の利便が一番優先されるべきなのだが……」
[産経新聞]
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