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きょうの社説 2010年2月15日
◎大学コンソーシアム 地域貢献でも競い合って
大学コンソーシアム石川の地域課題研究プロジェクトが県の支援を受け、新年度から拡
充されることになった。県内20の高等教育機関が参加する大学コンソーシアム石川は今年で発足5年目を迎え、4月からは、しいのき迎賓館に拠点を移して事業が再スタートする。単位互換に象徴される教育交流から、ゼミが県内各地で課題に取り組むなど、地域との関係をより重視していくのは望ましい方向である。大学の教授が自治体の審議会に参加したり、研究室が自治体から調査業務の委託を受け るなど、大学と地域との結びつきはこれまでもあったが、最近は学生を広範に巻き込み、研究テーマも地域資源のブランド化や商店街の活性化、健康づくり、施設運営など広がりをみせている。 調査研究の場を地域に求めることは、学生にとっては石川県を深く理解する何よりの機 会である。高等教育機関の集積地という石川の強みを県民に実感してもらうためには、研究成果を地域に還元していくことが大事である。コンソーシアムの場を生かし、地域貢献でも大いに競い合ってほしい。 大学コンソーシアム石川は「いしかわ大学連携促進協議会」を発展させ、2006年4 月に発足した。単位互換などによる教育交流や公開講座、高大連携事業のほか、さまざまな地域貢献事業にも取り組んでいる。このうち、地域課題研究ゼミナール支援事業は大学ゼミが地域の課題解決を目指すもので、今年度は「一般枠」に15件、複数大学が参加する「連携枠」に3件が採択された。 珠洲の揚げ浜式製塩の基礎調査や内灘海岸の魅力向上策、加賀温泉郷の保養地としての 活用、白山麓での健康長寿の解明、七尾の沢野ごぼうブランド化など多彩な内容である。これらの研究成果は報告会で発表され、互いの刺激になっている。大学や短大などで学んだ知識や理論を実践する場は地域にまだまだあるはずだ。 学生の斬新なアイデアや発想に地域の期待も大きいだろう。県だけでなく、各自治体も 学生の宿泊の便宜を図るなど受け皿を整え、県全体をキャンパス化するイメージで取り組んでいきたい。
◎石川議員の離党 「重い決断」の声に違和感
民主党の石川知裕衆院議員の離党に対し、鳩山由紀夫首相をはじめ、各閣僚から「重い
決断だ」「断腸の思いで結論を出した」などと評価する声が出たことに違和感を覚える。過去の例に照らし合わせても石川議員のようなケースは本来、除籍処分となるのが普通ではないのか。それを不問にして、離党という最低限の「けじめ」の付け方をほめそやすのは奇妙とい うほかない。民主党は15日の常任幹事会で正式に離党を承認する見通しだが、処分抜きで離党届けを受理するなら、処分を課さない理由をはっきりと説明してほしい。 民主党は野党時代、「政治とカネ」の問題に厳しく対処してきた。政権与党になったら 、手のひらを返すように、身内に甘くなるのでは、国民が納得しない。そうした反発を承知のうえで、処分をしない理由は、石川議員を処分してしまえば、不起訴を理由に続投する小沢幹事長に改めて批判の矛先が向くと思うからではないのか。 小沢幹事長に遠慮して、手出しができないのだとすれば、「民主党」の看板が泣く。右 肩下がりの内閣支持率に悩む鳩山首相は、石川議員の離党で、一連の「政治とカネ」の問題に区切りをつけたいだろうが、トカゲのシッポ切りで済まそうとする限り、支持率がそう簡単に持ち直すとは思えない。 小沢幹事長は、石川議員が離党届を提出したのを受けて、「収支報告書のミスに関して 、責任を問われているということだ」と述べ、改めて「形式的なミス」を強調した。しかし、石川議員は、特捜部の調べに対して、収支報告書に不適切な記載をしたことを認めていた。釈放後の説明にはブレも見られるが、小沢幹事長が言うような、事務的ミスとはとても思えない。 政治資金規正法の虚偽記載などで罰金刑以上が確定した場合、石川議員は公民権停止と なり、議員を失職する。議員になる前の秘書時代に犯したものだからといって、大目に見てもらえるような軽い罪ではない。石川議員がけじめをつけたいと本気に思っているなら、国会の参考人招致に応じ、説明責任を果たしてほしい。
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