■ハウステンボス “千年都市”理念は揺るがず

 平成4年(1992)3月、「21世紀に向けた環境重視型の観光都市」・ハウステンボスは、長崎県の大村湾に臨む埋立地152万平方メートルに2,250億円をかけて自然を再生させ、滞在型リゾートをアピールしてオープンした。園内の運河は全長6,000mに達し、駐車場は1,300台規模、さらに 「ハウステンボス」の名を冠した直通特急のために「ハウステンボス駅」も整備された。 
オランダとの400年の歴史から、その都市風景を見習った高質な施設デザインと、自然と人工の絶妙なゾーニングバランス、そしてホテル運営を代表とする本質的なサービス等が来場者の感動を呼び、10周年を迎えた平成14年(2002)までに入場者は3,920万人を数えるに至った。
 しかし、バブル崩壊と景気低迷の影響で、平成8年度(1996)の425万人をピークに入場者は減少が続き、合わせて別荘分譲を核とする不動産事業の停滞が経営の足かせとなり、プロジェクトリーダーの創業者が退陣。その後は金融機関の主導で、年間350万人の入場者を前提とした利益体質への転換を図っている。
 そして、開園10周年のタイミングで、"ハートフルタウン"化の施策として打ち出したのが、「お客様の声をすぐに経営に反映できるコミュニケーションづくり」、また「CSを高めるためのゾーニング整理や空間演出」、「園内外のアクセス向上」、「ウェディング事業の強化」、そして「地域密着」である。いずれも、来場者への意識調査結果を「強み」と「弱み」で再検証した結果を出発点としたマーケティング結果である。
 本章では、長崎オランダ村閉鎖やシーガイアの破綻の影響で、"例によって"混乱した報道による誤った情報をまずクリーニングするために、ハウステンボスの実状をまず整理。その上で、2002年度からの新しい施策の詳細について報告する。


○目次

1.はじめに ハウステンボスは一人の少年の夢から
(1)長崎オランダ村からハウステンボスへ/(2)予想外の不動産事業の悪化/(3)“神近後”は銀行主導で緊縮経営に転換/(4)不動産のディスカウント、JRAへの賃貸/(5)不変の「エコロジーとエコノミーの共存」

2.現況 エコロジーとエコノミー共存都市(その1)
(1)デザインテーマ/(2)コンセプト

2.現況 エコロジーとエコノミー共存都市(その2)
(3)都市機能 1)住機能 2)学機能 3)職機能 4)動機能


2.現況 エコロジーとエコノミー共存都市(その3)
(4)経済力

3.新しい取り組み 開園10周年をフックに実施展開
(1)ターゲットの再規定/(2)3つの活動プログラム 1)対話 2)実行 3)連携

4.訪れてのインプレッション(その1)

4.訪れてのインプレッション(その2)

5.まとめ 千年都市の明日に向けて



○概要

社名:ハウステンボス株式会社
代表者代表取締役社長:森山 道壯
資本金:30億2,500万円
所在地:長崎県佐世保市ハウステンボス町1番地1
開発総面積:152ヘクタール(46万1,000坪)
施設内面積:120ヘクタール(36万4,000坪)
建築延床面積:17.6ヘクタール(5万3,500坪)
駐車場等付帯施設面積:32ヘクタール(9万7,000坪)
運河全長:6,000m、幅:20m
深さ:5m、水深:2.5?3m
施設数:レストラン45、ショップ70ミュージアム12、
アミューズメント施設13
ホテル総客室数:874室(最大収容数2,200人)
マリーナ:173隻、屋内プール 他
土木工事着工:1988年(昭和63年)10月
建築工事着工:1990年(平成2年)2月
第一期オープン日:1992年(平成4年)3月25日
総投資額:2,250億円(第一期)
入場者:2001年度354万人(うち海外客22万人)

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