サイエンス

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

東京医科大八王子医療センター:生体肝移植死 生存率、過大に説明 複数患者に

 東京医科大八王子医療センター(東京都八王子市)で00~07年に生体肝移植を受けた患者の約4割が退院できないまま早期に死亡した問題で、センター側が手術への同意を取り付ける際、複数の患者側に実績より高い生存率を示すなど虚偽の説明をしていたことが分かった。同センターの葦沢龍人・第5外科主任教授業務代理は「不誠実極まりないことで申し訳ない」と話している。

 同センターによると、虚偽説明を受けたのは、50代の男性患者とその家族ら少なくとも計3組に上る。実績より高い生存率を示し、手術を受けるよう打診していた。いずれも遺族からの相談で判明した。

 このうち50代の患者のケースでは、移植にかかわっていた元准教授が、同センターで手術を受けた患者の1年後の生存率は約6割だったにもかかわらず「9割」と説明。男性は06年8月に手術を受けたが、同年10月に敗血症で死亡した。

 同センターの生体肝移植を巡っては、07年に病院のウェブサイトに実際とは異なる手術実績が掲載されたことが問題となり、元准教授がこのサイトの作成にもかかわっていたことが分かっている。元准教授は昨年12月の検証委員会の報告書の公表時に既に退職していたが、厳重注意処分を受けている。同センターの聞き取り調査に対し「覚えていない」と話しているという。

 また、同大は報告書公表後、死亡した別の患者2人の遺族からカルテの開示を求められた。2人を含め、死亡した患者19人の死因などを詳しく調べるため新たな調査委員会の設置を決めた。「3カ月以内に報告書をまとめたい」(高沢謙二センター長)としている。【青木純】

毎日新聞 2010年2月13日 東京朝刊

PR情報

サイエンス アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド