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2008.11.24(Mon)

「韓国の悲劇」から学ぶべきこと(2) 

  ●「韓国の悲劇」から学ぶべきこと(1)の続きです。

  前回は、韓国経済の頼みの綱である輸出が、世界的な需要の減少によって大打撃を受けており、一応景気対策らしきものは行われようとしているが、その一方でやはり輸出の拡大によって失地を挽回しようとしているということをお話ししました。
  韓国国内の経済はどうなっているのかというと、こんな感じです。

 韓国自動車市場で販売台数急減
http://www.chosunonline.com/article/20081116000013
http://www.chosunonline.com/article/20081116000014

韓国の自動車市場が今月に入り硬く凍り付き、業界に「11月大乱」が起こるのではという懸念が広がっている。

 今月1日から10日日までの国内完成車メーカー5社の内需販売成績を見ると、先月同期に比べ35%も落ち込んでいることが分かった。このため、完成車メーカー各社の営業部門は非常に気を揉んでいる。販売低下を防ぐため、最大36カ月の無利子ローンを断行したかと思えば、車種によっては最大1000万ウォン(約72万円)まで値引きするなど、出血大サービスが続々登場している。ある自動車会社の役員は、「今月の自動車販売低下は本格的な内需不振の兆しではないか、と不安な気持ちで見守っている。販売が減り続ければ、年末には自動車業界で大規模な人員削減が断行されるという話も出ている」と語った。

 輸出の需要が減り続けている最近の状況下で内需まで崩れてしまうと、韓国の完成車メーカーの連鎖的減産やリストラは避けられない、というのが業界の分析だ。GM大宇は来月22日から全工場の稼動を一時中断するとしているが、これは今や「幕開け」に過ぎないというわけだ。

◆「いくら値引きされても買わない」

 つい先月まで、韓国自動車市場の危機感はさほど大きくはなかった。米国に続き、ヨーロッパや日本の自動車市場までもが史上最悪の販売状況で苦戦している中、先月の韓国完成車メーカーの内需販売成績は、昨年同期比0.3%減に過ぎなかった。

 現在、国内営業の第一線では、破格の条件で割引しても販売が急減していることにショックを受けている。先月の成績は、今年9月まで現代・起亜自の労組がストを行っていたため供給されなかった車種への需要が掘り起こされたことで販売が一時的に増えた「錯視現象」だった、というわけだ。
   
 販売状況が深刻になる中、それまで割引幅が小さかった現代自さえも、サンタフェやトゥサン、ジェネシスの在庫車について約20%の割引サービスを実施している。エクウスは最大1000万ウォン、ベラクルスは550万ウォン(約39万円)まで割り引く。GM大宇のウインストームは300万ウォン(約21万円)まで割引する。双竜自は最大36カ月の無利子ローン販売を行っているが、今月10日までの販売量は46%減少した。双竜自のある営業所長は、「今のような状況がさらに何カ月も続くようなら、営業所を畳まなければならない」と語った。

 企業の別なく軒並み販売が下落していることも、自動車の内需不振本格化の兆しである可能性がある、と指摘されている。今月1日から10日までの現代自の販売は先月同期より28%減少し、新車を送り出した起亜自の販売も36%落ち込んだ。GM大宇の販売下落率は52%、ルノー・サムスンの場合は45%となっている。

◆不況に強い軽自動車もダメ

 今月の内需販売のさらなる特徴は、不況期によく売れる軽・小型車の販売下落幅が相対的に大きい、という点だ。

 今月1日から10日までの車種別内需市場増減推移を見ると、先月同期より軽自動車(モーニング・マティス級)は38%、小型車(ベルナ・プライド級)は45%販売が減った。反面、大型車(ジェネシス・オピラス・チェアマン級)は19%の減少にとどまった。景気が振るわない中、消費者が軽自動車や小型車に乗るのではなく、そもそも車の購入を控えている、という分析が可能な数字の動きだ。

 輸入車の販売不振も、今月に入り加速化している。今夏だけを取り上げてみても、輸入車市場は前年同期より月平均30%ずつ増加していた。しかし先月には前年同期より14%以上も減り、販売低下の動きを見せた。今月は、先月よりさらに販売が悪化するだろう、と観測されている。

 輸入車販売で第1位のホンダは先月、輸入車販売下落率で第1位(マイナス47%)を記録した。これは、輸入車市場でも中産層の購買力が大きく落ち込んでいることを示している。中でも今年7月に1カ月で1103台を売ったホンダの中型セダン・アコードは、先月の販売成績が377台にとどまり、3カ月で販売量が3分の1の水準まで激減した。



健康保険:滞納事業所が急増
http://www.chosunonline.com/article/20081020000033

 不景気で健康保険料を支払えない企業が増えており、また地域加入者の場合、4世帯に1世帯が健康保険料を滞納し、健康保険の適用が受けられない人が増えていることが分かった。

 ハンナラ党の林斗成(イム・ドゥソン)議員は19日、国民健康保険公団から提出を受けた「事業所の健康保険料の滞納状況」および「地域加入者の健康保険料の長期滞納状況」と題する資料を公開した。それによると、今年8月現在、健康保険料を3カ月以上滞納した事業所は5万4697カ所で、その滞納額は1905億ウォン(約145億円)だった。

 健康保険料を滞納した事業所は2005年に3万4979カ所、06年4万5640カ所、07年5万3206カ所と毎年増加傾向にある。社員が200人以上の大型事業所の滞納も05年19カ所、06年31カ所、07年30カ所で、今年は8月現在で27カ所に達している。

 滞納期間も長期化しており、25カ月以上の長期滞納事業所は、05年に448カ所だったのが、今年8月には1233カ所となった。

 職場の場合、企業と職員が半分ずつ保険料を支払う仕組みとなっており、納付主体の企業が保険料を納めなかった場合でも、その社員は保険の適用を受けることができる。

 地域加入者の場合、対象世帯の25%程度が滞納していることが明らかとなった。03年156万3000世帯(17.9%)だった滞納世帯数は、05年195万2000世帯、07年205万5000世帯と増え続け、今年は4月末現在で既に201万1000世帯(25.9%)に達している。滞納額も03年に9060億ウォン(約690億円)だったのが、今年は4月末現在で1兆5874億ウォン(約1208億円)にまで増加している。

 健康保険の適用が受けられない世帯は、03年は100万8000世帯195万1000人だったが、今年は4月末現在で201万6000世帯375万8000人に増加した。なお韓国の今年の全世帯数は1670万世帯。健康保険料はこれまで、3カ月滞納すると保険の適用が受けられなかったが、政府は先月、その基準を6カ月に延長した。


  日本でも似たようなことは起こっているとはいえ、規模が違います。もはや韓国経済派「死滅寸前」だと言っても過言ではありません。
  誤解しないでいただきたいのは、私がこのような記事を取り上げたのは、馬鹿な右寄りブログがよくやるように、朝鮮人を見下したいという低劣な目的からではないということです。
  私が韓国のケースを興味深く見ているのは、韓国の経済がどういう風に「料理」されるかしっかり観察しておけば、やがて日本にその「料理」の方法が応用されるときに、有効な対処法を練ることができるからです。
  ●以前に韓国のことを取り上げた記事で、私は韓国は「国家撃沈ビジネス」の標的にされていると述べました。
  そのビジネスは、以下のような手順を踏んで行われると予想します。

1.産業競争力がある割に通貨の規模が小さく、通貨価値に神経質な国の通貨を買い占める
2.一旦値上がりした通貨を、タイミングを見計らって浴びせ売りする
  当該国が通貨介入を行って外貨準備を放出すると同時に、各国の金融資本が貸し渋りに転じる
 (運転資金がなくなり、貿易決済がショートする)
3.通貨が暴落するので、その国の破綻した企業の株式を一気に買い占める(産業の支配)
4.ここで国際機関によって援助が行われば、そのタイミングで売り抜けて利益を確定する
5.不況を理由に国内制度を「大リストラ」する
6.産業基盤は維持したまま、安価な外国人労働力を大量に導入する
  または、中国のような国のファンドにたたき売りする


  これは、決して妄想や勝手な憶測で言っているのではありません。現実に、韓国は1997年の通貨危機の時に1回目の攻撃を食らっています。

●アジア通貨危機〜韓国における通貨危機

韓国はマクロ経済のファンダメンタルズが十分であったが、一方で金融部門では不良債権を抱えてしまった。過剰な借金は経営判断で大きなミスを招き、経営交代を招いた。起亜自動車の倒産を皮切りに経済状態が悪化。IMFの援助を要請する事態となった。

アジアの市場に異変を感じたムーディーズは1997年7月、韓国の格付けをA1からA3まで落とし、同年の11月にはさらにBaa2にまで格を落とした事で、すでに落ち込んでいた韓国の証券取引市場を更に冷え込ませて、韓国の経済を不振に陥れた。

IMFの指導を受け入れる前、金泳三政権は日本から金融支援を獲得して事態を彌縫しようとつとめたが拒絶された。

ソウルの証券取引は同年11月7日に4%も落ち込み、翌日には一日の株価変動としては、史上最大の7%の下落を記録した。この後IMFがしっかりとした再建を行うかどうかの不安感も災いし、同年同月の24日には更に7.2%落ち込んだ。そして、同年末に韓国はデフォルト寸前の状況にまで追い込まれた。これによりIMFが韓国の経済に介入し、現代グループなどに対して財閥解体が行われた。


  金融格付け会社である「ムーディーズ」と、米ドルを貸し付けて当該国家に「カイカク」を要求するするIMF(国際通貨基金)が、見事なまでのコンビネーションを見せています。そこに、通貨の浴びせ売りを行った「ヘッジファンド」を加えたのが、前回の国家撃沈ビジネスの配役だったと言えるでしょう。
  そして、IMFの「カイカク」の結果、で、韓国は内需をほぼ壊滅状態にされました。このような記事を見ればよく分かります。

9年前の10分の1まで減少した韓国の家計貯蓄率
http://www.chosunonline.com/article/20070211000022

 「わが子の天真爛漫(らんまん)な顔を見るたびに母は考える。この世の中で何よりも大切なわが子。明るい笑顔で元気に育ち、夢を叶えられますように。わが子の可愛らしい手を握るたびに、父の胸はときめく。不自由や困難のない家庭、いつでも笑顔の絶えない家庭を築かなければ。父と母は貯蓄で夢と希望を育てているという…」

 1981年、KBSテレビで放映された初の公共広告は「貯蓄で豊かな明日を」という貯蓄キャンペーンだった。

 60年代に経済開発計画が始まって以来、長い間貯蓄は個人的美徳を超えた国民的義務だった。政府は経済成長を支える資金を調達するため、汎国民的貯蓄キャンペーンを展開した。今ではほとんど忘れ去られているが、60年代から70年代の「貯蓄の日」には、軍楽隊が演奏する中、大統領が直接功労者らに勲章を授与する盛大な行事が行われていた。

 そのため、時には貯蓄奨励が行き過ぎた強制にもなった。当時、本紙は「当局の半強制的貯蓄運動は、貧しさにあえぐ貧困層の心を暗くしている」(1966年6月26日付)と批判した。例えば、戸籍抄本1通を請求する際にも通帳が必要で、農協は農民らに貸出金の10%を貯蓄するよう強要した。貯蓄を督促する先生にしかられるのを恐れ、学校に行きたくないと訴える子供たちもいた。しかし、こうして国民がベルトを締め上げ、1銭、2銭と集めた資金が高度成長の土台となった。

  (中略)

 昨年、韓国の家計貯蓄率が2%台に落ち込んだという。1998年の23.2%から10分の1に激減したのだ。しかし貯蓄率だけを見れば、米国(‐0.5%)や日本(2.4%)など、先進国の水準に近づいたとも言える。だからといって、ケインズが述べたように、貯蓄が減った分だけ消費が活発になり、生産と雇用が増え、景気が良くなったわけではない。多くの国民が住宅ローンのために貯蓄もできず、消費もできないワナに陥っているのだ。これは不動産政策の失敗が生んだもう1つの後遺症と言えよう。


  韓国人がアメリカ人のごとく消費に明け暮れているということではありません。単純に、貯蓄に回すお金がないのです。
  その一方で、こういう現象も起こっています。

金融資産家の増加率、韓国が世界1位
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=77025&servcode=300§code=300
昨年基準で韓国の‘百万長者’(金融順資産基準)は8万6000人であることが調査で分かった。

メリルリンチとギャップジェミニは20日、世界富裕層に関する報告書で、05年の韓国の百万長者は前年(7万1000人)に比べて21.5%増え、世界で最も増加率が高かった、と明らかにした。

報告書によると、韓国の百万長者が大きく増えたのは、昨年の総合株価指数が54%も上昇したためという。 メリルリンチが定義した‘百万長者’は「高額純資産保有者(HNWI)」で、住居用住宅を除いた純金融資産が100万ドル(約10億ウォン)以上の者をいう。

韓国に次いで百万長者が大きく増えた国はインド(19.3%増)、ロシア(17.4%増)、南アフリカ(15.9%増)、インドネシア(14.7%増)、香港(14.4%増)、サウジアラビア(13.5%増)、シンガポール(13.4%増)、アラブ首長国連邦(11.8%増)、ブラジル(11.3%増)などの順だった。 中国と米国は昨年6.8%の増加率を記録した。


  要するに、貧富の差がどんどん拡大しているのです。IMFの介入前後から、国内の分配システムになんらかの偏りが生じたと考えるのが自然でしょう。
  これは、なかなか賢いやり方です。「国家撃沈ビジネス」の仕掛け人(IMFやムーディーズのバックにいる人たち)たちは、自分たちが不当な支配や搾取を行っているということがばれることを怖れています。それを覆い隠すには、ある国を標的にする時も、その国の全ての層を餌食にせず、一部の人間に利益を与えておいて、国民を分断するという作戦を採るわけです。
  韓国で、そのようなエサをもらえる層として選ばれたのは、輸出企業です。たとえば、韓国最大の自動車メーカー、現代・キア自動車は、●株式の時価総額で米ゼネラル・モーターズを抜いたこともあります。●韓国経済株価指数(KOSPI)も、2000年前後から最近まで、上り調子で来ています。ソウル株式市場に上場している大企業(貿易依存率の高い国なので、当然輸出関連が多い)や、その株主である銀行、個人資産家はかなりの利益を上げているということです。
  こうやって一部の層に利益を与えておけば、「分配を強化しろ」という声が出てきても、「いや、国際競争力の方が大切だ」という論調が、マスメディアで支配的になります。そうなると、国民も、そういうものだと思ってしまうわけです。
  そうはいっても、昨今の金融危機を契機にして、韓国も分配を強化する方向に舵を切ったのではないか?と思う人もいそうです。前回紹介したように、韓国は、もらえるかもらえないか分からない生活支援金についてウダウダ言っている我が国の政権と違い、大胆な景気対策を行っているからです。
  しかし、その景気対策がくせ者なのです。●その施策を紹介したリンク先、もしくは前回の記事の引用部分をもう一度お読み下さい。
  確か私は、この記事に何か変なものを感じませんか、と、前振りをしていたはずです。その「答え合わせ」をしてみましょう。

  まず、私が「これは、まずいんじゃないか?」と真っ先に思ったのがここです。

>政府はまた、非正規職法により企業が雇用に負担を感じ、むしろ雇用創出が
>鈍化している点を考慮し、この部分の規制を緩和する案も検討している。


  ●こちらのリンクをご覧頂くと、韓国は雇用格差の是正のために、2007年から「非正規職法」という法律を施行し、2年を超える契約期間の従業員は原則として正規雇用にしなければならないということを定めました。
  ところが、そうした途端に今度は非正規雇用の従業員がどんどん解雇されルということが起こり、韓国国民の中にもこの制度を改正すべきだという声が上がっていました。
  しかし、もしこれを元に戻してしまえば、雇用自体は増えたとしても、結局身分は不安定なままです。格差の固定はなお一層進むでしょう。どうも、不景気だということを理由にして、雇用法制を企業の都合の良いように変更してきたという気がしないでも有りません。
  また、ここも違和感を感じた部分です。

>投機地区および投機過熱地区はソウルの江南区、瑞草区、松坡区などいわゆる
>「江南3区」を除き、すべて指定を解除する。


  投機地区に指定されると、住宅担保貸付に制限が設けられ、投機加熱地区に指定されると、分譲マンションの区分所有権を譲渡するのが簡単になるということです。 
  しかし、●麻生内閣の景気対策について書いた記事でも言いましたが、そもそも銀行が貸し付けをしてくれなかったり、もともとローン審査に通らない所得だったりすれば、こういうものはあまり効果がないわけです。
  韓国の場合も同じことで、個々の家計には恩恵が少ない一方で、大手のデベロッパーが大規模な開発を行うのが容易になるということにもなります。おそらく、これはほんの序の口で、しばらくすれば首都ソウルの都心に当たる江南三区でも規制が解除され、投機目的の住宅建設が相次ぐでしょう。その時、一体誰が得をするのか・・・少なくとも、マイホームがほしい庶民ではないでしょう。
  結局、一部の層を優遇するという韓国の路線は、根本的な修正がなされないままのようです。景気対策を謳っても、雇用政策については全く触れようとしない我が国の政権と、たいした違いはありません。
  それでも、まだ韓国の方がマシだと思えるのは、

>基礎生活受給対象者など貧困階層に対する支援も拡大

>グローバル青年リーダーと未来産業青年リーダー各10万人育成など
>青年失業者支援案、

>個人融資金利の引き下げ


  といったように、弱者救済も謳っているところです(もっとも、それが確実に履行されるかどうかは不明)。
  しかし、断言しても良いのですが、ここに挙がっているような「貧困階層」「青年失業者」といった人びとは、今後間違いなく捨てられます。
  なぜそんなことが言えるのかというと、「国家破産ビジネス」をやっている連中が、「韓国人はもう要らない」と宣言したからです。

  次回の記事は、私自身も暗い気分になるのを奮い立たせながら書かなければならない内容になりそうです。というわけで、もう1回このシリーズの記事が続きます。

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