ええと、アオドクロも終了しまして早半月が過ぎようとしておるわけですが、既にSHIROHの稽古もガンガンに進んでおり、それに伴いSHINKANSEN CLUB REPORTの製作も順調に遅れております。全くもって面目ございません。今のところ、11月下旬には出せる予定です。予定だけどね。その代わりと言っては何ですが、ここにSHINKANSEN CLUB REPORTの号外をお贈りしたいと思います。といいますのも、アクションクラブが誇る造形師・前田悟さんの新作が、これまた大変出来がいいのでご紹介させて頂きたいと思ったわけですよ。題材はアカドクロ、しかもサントラCDの捨之介さんです。見てください、このふてぶてしい表情! とてもいい感じです。前田さんの造形作品といえば、轟天シリーズにて販売された轟天フィギュア(ボールペンとかストラップになってたやつね)が有名ですね。ですが、今回のこの捨之介フィギュアの販売の予定は全くありません。世界でただ一つの作品です。しかし、是非とも皆さんにお見せしたいと思い、写真にてご紹介させて頂いたワケですが、逆に商品化されずに悔しい思いをお抱きになるかもしれませんね。ていうか、それが意図です。単にみなさんに自慢したかっただけです。もう一度言いますが、販売の予定は全然ありませんからね!さて、ここまで書いて終わりにしようと思った矢先、笑える後日談が飛び込んできました。例の捨之介フィギュアは予定通り古田さんに贈呈されることになりまして、古田さんがアオドクロを見に来た日に渡したそうなんですが、その日は日曜日。本番後、中日打ち上げがありましてみんなで飲みに行ったんですよ。で、その場でとても嬉しそうに受け取った古田さんでしたが、例によって酔っぱらい、帰りのタクシーの中に置き忘れてきてしまったそうです! なんてこった! 世界に一つしかない貴重な作品を、よりによってタクシーに忘れてしまうとは! まあ、その後、なぜだか高田さんが運転手さんから無事受け取って、今は古田さんの手元にあるそうです。よかったよかった。(写真上から)【1】これですよ、これ!ちなみにここはアオドクロでの前田さんの鏡前です。 オーブン粘土製。普通はオーブンで焼くらしいんだけど、 前田さんは蒸し焼きにするそうです。【2】タバコと比べてみると結構大きいでしょ。 製作日数は約3日だそうです。【3】裏面には製作者のサインが。8月に作ったようですね。【4】製作者と。この指からこれが生まれてくるわけですね。 ていうか前ちゃん無表情すぎ。
そんなこんなでお贈りしました「アカドクロ潜入レポート」ですが、なんか無難な感じでまとめちゃいましたね。なので、オマケとして気楽な小ネタをいくつか。毎回、人間の限界を超えている小道具チーフのインディ君。今回の小道具も大変なようです。特に、今回は仕掛けものが多いようで、そのあたりが大変さを増しているようですね。あ、それから今回も動物が出てきます。インディ君によれば「かずきさんは不用意に動物を出さないで欲しい」とのこと。で、動物と言えば中に入るのはあの大きなスキンヘッドの人なので、その辺の苦労も考えてあげて欲しいですね、かずきさんは。仕掛けが多いのは小道具に限らず、セットや特効にも仕掛けが多いです。セット自体はシンプルなんですが、色んな仕掛けが隠してあるようですね。ここからアレが出るとか、パネルがガーッと動くとか。それから、今回殺陣がすごいというのは前に書きましたが、特に多対多の殺陣が圧巻です。ええと、あるシーンで戦っている人を数えたんですが、なんとその時舞台上には22人もいました。なんだそりゃ!多すぎだろ!いくら舞台が広いからって。そりゃサンプラーも二人必要だわ、とか思いながら見てました。あ、ちょうど稽古場に作家の中島さんが来たのでちょっと聞いてみましょう。「今回の合い言葉は『シンプル&黒澤映画風』。だからだいぶん短くしたよ。贅肉をそぎ落として、シンプルに。余ってるのは古田の脂身だけ」。その古田さんの脂身もだいぶん減ってきているんだから、まさに削ぎ落とした舞台になりそう。私も通し稽古を見まして、7年前、14年前と比べて「なるほど。このシーンはこう変わったのか。あ!ラストシーンがこんなことに!」と驚きの連続。懐かしさはあるんだけど、それよりも新しく生まれ変わった感がありますねえ。こりゃ「アオドクロ」組の私としてもうかうかしておれませんなあ。さあ、「アカドクロ」始まりますよ!いや、もう始まってるのかな?まあ、いいや。とにかく乞うご期待。 (写真上から) 【1】なんか太長い小道具を作っているインディ君。 例のアレですが、今回はコレもパワーアップしてます。 「エイリアン2」のアレっぽく。 【2】殺陣の稽古中、端っこで寝ていたお二人。 でも、サンボ君の右手は寝ながら殺陣の動きをしていました。ピクッピクッと。 カナコさんは寝ながらも武器は手放してないし。 不思議な二人だ。 【3】稽古場の外に置いていた私の取材ノートにいつのまにかこんな落書きが。 誰ですか?これを書いたのは! 【4】なにやら古田さんに吊し上げられてるさとみ。 いや、さとみに問いかけるシーンではないのでは? まあ、手近にいたんでしょう。 【5】もつれ合って倒れるじゅんさんといっそん。 いや、ここは倒れるシーンではないのでは? まあ、勢い余ったんでしょう。 【6】そんなじゅんさんのナイスな表情。 今回もまたじゅんさんトバしてますよ。 勝手に好きなこと言うコーナー作ってるし。
そしてこの「アカドクロ」の魅力は多彩なキャスト。劇団プロデュース公演らしく、実に豪華な客演陣。しかもほとんどがいのうえ演出の経験者と来れば信頼感も増します。和服姿がよく似合う水野美紀さんは剣、槍も使うし短筒も使う。「アテルイ」で証明済みの通り殺陣が上手なのでとても舞台映えしますね。殺陣と言えばJAC(現JAE)出身の山本亨さん。今回は卑怯な刀法とイヤミなキャラで意外な一面も見せて下さいます。「天保十二年のシェイクスピア」の時にはほとんど殺陣シーンが無かったのですが、今回は暴れまくりますよ〜。「スサノオ」で元気なタケハヤを演じていた佐藤仁美さんが、今回も元気キャラで走り回っています。でも、時々二日酔いで走り回ってませんが。お酒はほどほどに。そして、今回注目なのは坂井真紀さんのキュートで不思議な動き!魅力的です!「西遊記」以来の新感線系出演ですが、また新たな一面を切り開いているようです。さて、今回、新感線系初出演の佐藤正宏さんと梶原善さん。佐藤さんは飄々としていて老練な感じ。柔和な笑顔が印象的なのに、時折見せる厳しい表情もカッコイイ。まさにあの役にぴったりの方です。そして梶原さんはというと、これがまた怪しさ爆発。渋いんだか軽いんだかよく分からない方で、身軽にヒョイヒョイ動き回るのに、その動きがまた怪しい。謎キャラクターのあの役にこれまたぴったりです。そして無界屋の女たちや関八州荒武者隊の男たちも強力です。この人たちをどこで見つけてきたんだ?ってくらい強力なキャラクターを集めてます。さらにアクションチームも史上最強。凄腕をそろえています。ナイショですが、鉄機兵の衣裳がこれまたかっこいいんです。オープニングからぶちかましますよ〜。あ、忘れてた。ええと、劇団員のみなさんも頑張ってますよ。古田さん、じゅんさんのフレッシュな姿も魅力的ながら、さらに卑怯になったサンボさんや右近さん、高笑いが耳障りなカナコさん、汚い食べ方が得意の礒野くんなど、おなじみのキャラクターが一杯です。そういえば、14年前の初演でカナコさんが、7年前の再演でさとみさんが、それぞれ新感線初舞台を踏んでいます。なんだか歴史を感じますなあ。そんなこんなでとても魅力的な出演陣。それもまた今回のポイントの一つですね。公演間近、稽古絶好調!滋賀、東京、大阪、東京と、今回もまた長いツアーになりますが、新しい「髑髏城〜」をどうぞご期待下さい! (写真上から) 【1】ダメ出しを聞いている美紀ちゃん。 凛としていて美しいです。 なんか女子高のあこがれの先輩って感じ。 いや、よくわからないけど。 【2】今回ホントに暴れ回る亨さん。 動きがキマッています。でもイヤミなキャラ。 ところが、これが意外にお似合いなんですよ。 【3】サトー、絶体絶命。 今回も突き飛ばされたり転んだり、走り回っているので、 体には気をつけてね。 【4】謎のポーズを取る真紀ちゃん。 後ろで見ている美紀ちゃんや古田さんたちも笑ってます。 いや、ホント、今回の真紀ちゃんはいいですよ! 【5】なんか紹介してる佐藤さんと、ズッこけている川原さん。 そういえば、佐藤さんが扇町ミュージアムスクエアで上演なさった公演に、 新感線の若手が踊り子として出たことがあるんですよ。 【6】殺陣の自主練習をする善さんと、見守るじゅんさん。 春うららかな今日このごろ。ちょうど桜も満開でした。 あ、これが善さんは久々の舞台なんですね。
「髑髏城〜」の主役と言えば、やはり「玉ころがしの捨之介」でしょう。14年前の初演、そして7年前の再演でも古田新太さんが演じました。そしてもちろん「アカドクロ」でも古田さんが演じます。ちなみに秋の「アオドクロ」では市川染五郎さんです。で、この捨之介というキャラクターは「天魔王」というキャラクターと対になっています。つまり、一人の役者がこの善悪両キャラクターを演じるわけです。そこがこの戯曲のキモになっているわけですが、演じる方はたまったものではありません。実際、初演版では着替えの時間も含めて古田さんはほとんど休む時間がありませんでした。ていうか、中島さんはそれを目標に書いていたそうです。まあ、再演版では登場人物も増えてちょっとは休む時間ができていたようですが、今回はどうなんでしょう。古田さんに聞いてみましょう。「初演はね、確かに忙しかったね。でも無理矢理タバコ吸ってました。二本。でも、再演は構成が変わったから結構余裕あったよ。出てないシーンが増えたから。今回はさらに余裕はある。でも、二幕の後半は怒濤なんだよね。今回の百人斬りは速いよ〜。もう、史上最速でやってます。おかげで9kg痩せました。ダイエットじゃなくて、痩せた。特に腹が。でも、着流しだからよくわかんないと思うけど」とのこと。さらに三回目の上演について尋ねたら「本が青いね。すごく若いって感じがする本だね。昨日ね、高田が稽古場に遊びに来て通し稽古見てたんだよ。そしたら『つられて古田さんやじゅんさんまでフレッシュに見えました』って言って帰ったくらい若い本なんだよ。粟根さんも通し稽古見ておいた方がいいよ。ほら、劇場入っちゃうと衣裳とか照明とかでカッコよく見えちゃうじゃない。稽古場のこの緩さ加減を見ておいた方がいいよ」だってさ。どうやら噂通り昔の香りのする、若くて勢いのある作品になりそうです。「アカドクロ」二つ目のポイントは、やはり三度目の捨之介役・古田新太のガンバリにあるようです。 (写真上から) 【1】古田さんとじゅんさんのお馴染みコントシーン。 例のネタです。懐かしいやら馬鹿馬鹿しいやら。 【2】カッコイイ二人の立ち姿。 なんか真面目なシーンのようです。 二人ともアクションクラブの黒帯ジャージ着用。 そりゃ強いワケだ。 【3】稽古場外にて談笑中の古田さんとサトー。 古田さんの「あんちゃん」さがよく伝わってくるいい写真ですね。 エマ撮影。 【4】稽古場で見つけた古田さんの台本。 いや、なんかひげを生やした人の顔みたいで面白かったから。 特に「人」の部分の口が可愛い。 ところで「アオドクロ」ではやっぱり青い表紙なのでしょうか?
さあ、「髑髏城の七人」春バージョン、通称「アカドクロ」も本番直前となりました。7年ぶりとなる再々演、しかも今年は2バージョン連続公演となる「髑髏城〜」です。はたして「アカドクロ」はどのような稽古状況なのでしょうか?わたくし、今回は出演していない粟根まことが稽古場に潜入してレポートしたいと思います!ま、潜入ったってお互い見知った仲ですから「よう!」ってな感じで全く“潜入”してはいないんですがね。しかし稽古場に入って驚きました。とても広い稽古場ではあるんですが、なんと言っても特筆すべきは天井の高さ。これならいくら高い舞台を組んでも刀が天井に当たる気遣いは要りません。昔は稽古場の天井が低くて刀やら槍やらが天井の蛍光灯を割ってしまったことがあるんです。これだけ天井が高ければその心配はありません。ていうか、高すぎないか、これ?まあ、写真をご覧いただければお解りの通り、今回は開帳場です。開帳場(かいちょうば)というのは傾斜舞台の事で、「八百屋」と表現される場合もあります。奥がせり上がっている分、立体的な舞台作りに効果的なのですが、その上で動く役者は大変なんです。特に殺陣。坂道で殺陣をするわけですから、その負担は想像以上なのです。ええと、今回は殺陣は多いのでしょうか?おや?音効さんがいつもより一人多いぞ?どうやら、今回はサンプラー担当が二人になるようです。サンプラーというのは音効器材の一種で、殺陣のシーンで使われる「キーン」とか「バシッ」とかいう音を出す装置です。楽器の鍵盤を使って出しているわけですが、それが二人いるということはやはり殺陣は多いのでは?サンプラー歴10年の大木君に聞いてみました。「多いですね。7年前の『髑髏城〜』でもサンプラー担当だったんですが、今回はその倍くらいありますね」とのこと。なるほど。倍だから二人で担当するわけですね。そりゃ解り易いわ。実際に稽古を見てみると、とにかく大人数での殺陣が多い。善悪入り乱れての群衆乱闘がすごい迫力です。武器も刀、槍はもちろん、鎌、ヌンチャク、ハンマー、斧、連発銃など、多種多様な武器がブンブン振り回される群闘は圧巻です。しかも今回は殺陣の得意な水野美紀さんや山本亨さんがいらっしゃいますからさらに期待が高まります。その上、アクションクラブやJAEなど多数のアクションチームも参加してますからね。なるほど。やはり「髑髏城〜」の一つのポイントはやはり殺陣にあるようです。では、そのほかのポイントはどうなっているのか。それは次回のお楽しみ。 (写真上から) 【1】これがサンプラー二人体制。 鍵盤に手を置いている二人の、奥が大木君、手前が藤森君。 キーボードプレイヤーのようだ。じゅんさん撮影。 【2】カッコイイ殺陣シーン。 手前の背中は美紀ちゃん。槍を持っています。 奥が亨さん。奥の左側にちらっと写っているのはJAEの横山さん。 今回の横山さんがまた強い! 【3】座長の演出風景。 「もっと全体的に広がって」とか指示してます。 さすが演出家、ちょっとカッコイイですね。 【4】これも演出風景。え?そうなの?はい。 「こう尻を押さえてクルッと回転して」とか指示してます。 さすが演出家、ちょっとカッコワルイですね。