内向きの製薬産業を新成長動力に(上)

 韓国最大の製薬メーカーである東亜製薬は、昨年初めて年間売上高が8000億ウォン(現在のレートで約610億円、以下同じ)を突破した。しかし、これでもファイザーやGSKなど世界的な製薬メーカーに比べると100分の1の水準で、その内訳も、ドリンク剤のバッカスだけで1000億ウォン(約76億円)を占めていた。

 電子・自動車・造船など製造業分野では韓国から世界的な企業が続々と誕生しているが、製薬業界に関して言えば、いまだに零細企業のレベルを抜け出せていない。韓国の製薬メーカーにおける年間の平均売上高はわずか157億ウォン(約12億円)で、売り上げが500億ウォン(約38億円)に満たない企業が全体の74%を占めている。つまり、零細製薬メーカーが倒産することもなく、オーナーが2世、3世へと引き継がれるだけというケースが多いということだ。この種の製薬メーカーは韓国に874社存在する。

 世界の医薬品市場規模は7731億ドル(約69兆円)といわれており、これはメモリー半導体市場の456億ドル(約4兆1000億円)の17倍に達するほど巨大なものだが、このうち韓国の製薬メーカーが占めるシェアはわずか1.5%だ。輸出はほぼないも同然で、医薬品分野での貿易赤字は、2005年には15億4000万ドル(約1400億円)だったが、09年には22億8000万ドル(約2040億円)へと膨らみ続けている。製薬メーカーも新薬の開発に取り組むようなことはせず、リベート(医薬品を購入する見返りとして医師、病院、薬局などに与えられる金品や接待など)営業だけで国内市場に安住してきた。

 新薬の研究開発費は額そのものも小さいが、売上高に占める割合もわずか5%に過ぎない。世界の10大製薬メーカーで、売上高に占める研究開発投資の割合が17.6%を占めているのと比較すると、あまりにも小さい。韓国の10大製薬メーカーによる研究開発投資総額を合計すると1746億ウォン(約133億円)だが、これはファイザー1社の76億ドル(約6800億円)のわずか2%だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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