【社説】世界的な製薬会社を持ってこそ真の強国だ
韓国政府が製薬業界の研究開発(R&D)を支援するため、年内に3000億ウォン(約230億円)規模のファンドを創設し、5年以内に規模を2兆ウォン(約1540億円)に拡大する方針を明らかにした。製薬業界の研究開発投資に対する税額控除比率を現在の3-6%から20%(中小製薬会社は30%)に引き上げると同時に、製薬会社同士の合併・買収(M&A)、専門研究人材の育成、新薬開発クラスターの構築などの対策を示した。製薬分野でもサムスン電子のように世界的な競争力を備えた企業を育成し、今後30年間で先端新薬16種を開発するのが目標だ。
しかし、世界的な製薬会社を育成するには長い歳月を要する。小さな錠剤一つに世界最高水準の医学、生物学、分子化学の知識が詰め込まれているのが製薬産業の特徴だ。世界的な製薬会社は新薬一つを開発し、臨床試験に至るまでに10-15年の歳月がかかる。実験室で1万種類の化合物を探し出しても、新薬として採用されるのは1-2種類だけだ。成功率は0.001-0.002%にすぎない。
韓国の製薬10社による2008年の研究開発投資は合計で3080億ウォン(約240億円)。世界トップのファイザーが研究開発に投入する8兆2500億ウォン(約6350億円)の3.7%にすぎない。800社以上ある韓国の製薬会社の大半は、ジェネリック医薬品や健康補助食品を生産することで収支を合わせている。新薬開発など夢見る余裕はない。新薬開発に取り組んでいる数社も臨床初期段階で外国企業に技術を譲渡し、ロイヤルティーを受け取ることで満足している。新薬開発費用のうち臨床試験費が85%を占めることも問題だが、たとえ独自で新薬を開発しても、全世界の医師がそれを処方してくれる可能性はないからだ。
世界的製薬会社を持つ国が本当の強国だといわれる。世界の大手製薬メーカー上位10社は、米国が5社、英国が2社、スイスが2社、フランスが1社だ。ドイツのバイエルなどがそれに続く。日本は世界2位の経済大国だが、世界の有名病院で日本製の薬を処方するところはない。韓国の製薬産業の発達は、焦るよりも50年、100年先を見据え、着実に基礎科学を育成し、政府・企業が研究開発と投資を分担または並行して進め、体力を高めてこそ現実となる。
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