リュージュ練習中に…“世界最速コース”で激突死
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リュージュ選手の死を悼み、腕に喪章をつけ入場行進するグルジア選手団
 Photo By 共同  | 
 バンクーバー冬季五輪が開幕した12日、ウィスラー・スライディングセンターで行われたリュージュ男子の公式練習で悲劇が起こった。グルジア代表のノダル・クマリタシビリ選手(21)がコース外に飛び出し、金属製の柱に上半身を打ちつけて死亡。開会式でグルジア選手団は国旗と腕に喪章をつけて行進した。
 生から死に至る一瞬は衝撃的だった。スタートから48・9秒後。最後の直線に出る手前の第16カーブでクマリタシビリ選手のそりは遠心力に負けてしまった。練習とはいえ時速は自己最速の144キロ。大きく膨らんだ軌道を修復するのは難しく、直線に出たところで右の壁面にぶつかってしまった。激突が生んだエネルギーがそりを反転させ、体重80キロの体は左の壁を越えて宙を舞う。不幸なことにそこにはラバーで覆われていない金属製の柱があり、無情にも若者の命を吸い取ってしまった。すぐに人工呼吸と蘇生(そせい)処置が始まり、ヘリで病院に搬送されたがほぼ即死状態。公式練習は中止となり、各国の選手たちは言葉を失った。
 冬季五輪での死亡事故は5件目。「ショックで言葉が出てこない。どうすればいいんだ?なぜこんな不幸な出来事が起こったんだ」とグルジアのジャパリーゼ選手団長は目を潤ませながら頭を抱えた。「この大会を彼にささげる」と誓い合った7人の選手団は気丈にも開会式に参加。観客は総立ちで拍手を送ったが、選手の中には涙をぬぐう姿も見られた。
 グルジア・リュージュ連盟の会長を父に持つ同選手は世界ランク44位。世界最速のコースと言われる五輪コースでは経験したことがないスピードに戸惑い、10日の練習でも転倒していた。五輪3連覇を狙うイタリア代表のツェゲラーでさえ壁に衝突。リュージュ史上最速の154キロを計時したトップ選手もいたが、途中でリタイアした選手は12人を数えた。かつてリュージュ界の“帝王”として君臨したドイツ代表のハックル監督は「安全面に問題はない。まれなケースだ」と語ったものの、オーストラリア女子代表のキャンベルペッグは高速化を図った大会関係者を批判。「わたしたちは実験用のダミーじゃない」と表情を曇らせた。
 13日の男子1人乗り予選は事故現場の壁を高くして予定通り行われる。だが会場近くの広場に運ばれたクマリタシビリ選手のそりには花がささげられ、重々しい雰囲気に包まれている。悲劇で始まった第21回冬季五輪。命の尊さを訴える幕開けとなった。
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