最終更新: 2010/02/14 01:09

スーパーニュースニュースJAPANスピークスーパーニュース WEEKEND新報道2001

音楽配信サイト「アイチューンズ・ストア」をめぐり不当請求トラブルが相次ぐ

音楽配信サイト「アイチューンズ・ストア」をめぐって、不当請求トラブルが相次いでいることがわかった。
携帯音楽プレーヤー「iPod」。
その音楽配信サイト「アイチューンズ・ストア」の利用者の間で、身に覚えのない請求がクレジットカード会社から相次いでいるという。
国内のクレジットカード会社4社によると、その件数はわかっているだけでも80件以上で、中には50万円以上請求された人もいるという。
一体、何が起きているのか。
富山県に住むAさん(30代)も、「アイチューンズ・ストア」利用者の1人。
2009年10月、Aさんは突然クレジットカード会社から十数万円の請求をされた。
Aさんは「(2009年10月)クレジットカードの利用明細をインターネットで確認した。その時、アイチューンズ、アイチューンズ、アイチューンズ、アイチューンズという請求が25件、ずらぁーっと並んで...」と話した。
Aさんに送られてきたクレジットカード会社の利用明細書には、「アイチューンズ・ストア」の名前がズラリと並んでいた。
その数は25件、総額は11万4,395円。
しかも、そのすべてが、2009年10月21日の午後11時46分から、およそ1時間かけて、次々に購入されていたことが判明した。
Aさんは「まったく身に覚えのない請求で、『なんだこれは!』とドキっとして」と話した。
Aさんが気づかぬまま購入したとされる11万円以上の商品。
その内容について、Aさんは「全部スピッツですね。これは宇多田 ヒカル。ビデオも。GARNET CROWですか。4,650円ですね。(井上陽水とEXILE? 創聖のアクエリオン?)まったく聞かないし、このグループがなんなのかもわからない」と話した。
自分の趣味とは違う曲の数々。
さらに、Aさんは「サラリーマン金太郎とか、四字熟語の辞典、名言名句の辞典。なんでこんなものを。腹が立つのと、悲しいのと、あきれるのと...」と話した。
身に覚えのないものが、何者かに購入されていた実態。
情報処理推進機構セキュリティーセンターの加賀谷 伸一郎氏は「つまりIDとパスワードが他人にばれていたことになります。IDとパスワードを知っていれば誰でもいいことになる」などと話した。
「アイチューンズ・ストア」で曲などを購入する場合、利用者はIDやパスワードを入力する必要がある。
専門家は、このIDとパスワードが何者かに入手され、それが悪用されたと指摘している。
加賀谷氏は「(一体どんな方法で?)コンピューターウイルスに感染した場合、パソコンで入力した文字が盗まれます」と話した。
可能性の1つに挙げたのは、コンピューターウイルス。
実際どのようなことになるのか、加賀谷氏は「仮にこちらのパソコンがパスワードを盗むというウイルスに感染していると仮定します。(もう一方の)こちらが悪い人のパソコンですね。(感染したパソコンで)パスワードを入れてログインボタンを押します。すると悪い人のパソコンに、今入れたIDとパスワードが飛ばされてしまう」と話した。
Aさんが「アイチューンズ・ストア」に確認したところ、何者かがAさんのパスワードなどを不正に入手し、それを悪用して買い物をしていたことが明らかになった。
Aさんは「自分の不注意で、そういう被害に遭ってしまったのかと....」と話した。
Aさんは、「アイチューンズ・ストア」とクレジットカード会社に相談した。
その結果、クレジットカード会社側が今回のケースを犯罪被害と確定し、11万円を超える請求は取り消しになった。
「スーパーニュース」が大手クレジット会社に確認したところ、4社で「アイチューンズ・ストア」のパスワードなどを何者かに盗まれ、高額請求を受ける被害相談が、2009年秋ごろから寄せられ、80件以上にのぼるという。
あるクレジットカード会社は、「対応を検討している」とする一方、別のクレジットカード会社は「クレジットカードの番号が盗まれたなら対応するが、今回の件はアップル社のIDやパスワードなので、深入りできない」としている。
一方、「アイチューンズ・ストア」を運営するアップル社。
アップルジャパンの担当者は、「今回の問題が出てから確認したところ、ハッキングされた痕跡も、IDやパスワードが盗まれた形跡もなかった。当社のセキュリティー管理は万全で、不正が発生したのはクレジットカード会社とお客さまとの間の話です」としている。
国民生活センターによると、「アイチューンズ・ストア」以外にも、複数の音楽情報サイトでIDやパスワードが何者かに盗まれ、高額の商品を買われた被害相談が、2009年の秋から相次いでいるという。
この被害を防ぐ対策について、加賀谷氏は「100%防ぐということは難しいと思います。パスワードを強化することになりますけど。文字数を8文字以上にするということと、辞書にあるような単語は使わない、名前も駄目。パソコンにウイルス対策ソフトを入れて防衛しておくということです。すべてのオンラインサービスは狙われていると言っても過言ではない」などと話した。
消費者庁によると、クレジットカードの請求書に身に覚えのない請求があったなど、音楽配信サイトを介した料金不当請求による被害は、2009年4月から43件報告されているという。
これを受け、消費者庁では、ウェブサイト上での注意喚起などを始めている。

(02/12 19:03)


[ high / low ]

「社会」の最新記事

最新記事