日航機事故のミサイル発射に関する論述を進めます。
その前に、私の複数の友人から「ミサイルを喰らっても旅客機が簡単に落ちないことを初めて知りました」との感想をいただき、多くの人にとって、「ミサイル」という言葉に対するイメージが間違って与えられていることを知りました。これから「ミサイル」に関する議論を進める上で、この認識が誤っていると誤解を生む原因となりますので、くどくなりますが「ミサイル」というものの実際について、少し補足を加えたいと思います。
■大韓航空機に見るミサイル攻撃の実際
国際軍事評論家のB氏によると、現実を知る上で最もわかりやすい実例は、1978年に起きた、大韓航空007便によるソ連領空侵犯事件だろう、とアドバイスを受けました。この事件は、大韓航空のボーイング707がソ連領ムルマンスクの上空を侵犯し、ソ連超地内の氷河湖に不時着したというものです。同機はソ連空軍機のミサイル攻撃を受けたのですが、それもB氏の入手した情報によると4,5発命中したらしいのですが、1人の犠牲者も出さず不時着に成功しています。
ミサイル攻撃を受けていたことは最近になって公表されましたが、それに関する報道記事があったので下記に引用します。、
-----------------------(ここから)-----------------------
【78年の旧ソ連不時着大韓航空機、ミサイル攻撃受けた】
1978年に旧ソ連領空を侵犯し、ムルマンスクに強制着陸した大韓航空(KAL)ボーイング707旅客機は、2度にわたりミサイル攻撃を受けていたことが、27日、明らかになった。
KAL707機は4月21日、乗務員と乗客110人を乗せてパリを出発し、ソウルへ向かう途中、北極航路を離脱した後、ムルマンスク南200マイル地点の湖面に非常着陸した。 当時、ソ連戦闘機の機関銃警告射撃だけを受けた、と知られてきた。
(以下略)
中央日報(日本語版) 2005.6.29
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=65080&servcode=400§code=400
-----------------------(ここまで)-----------------------
写真1:大韓航空のB707機(写真は貨物機)
ちょっと恐かったですが、安いので貧乏旅行にはよく使っていました
1983年のサハリン沖領空侵犯事件といい、大韓航空による旧ソ連領内のスパイ活動は軍事関係者の間で有名ですが、それは本題ではないので、まずは、ミサイル攻撃を受けたところで大型民間機は簡単に撃墜されないという事実にご注目ください。
■半分不発は当たり前の空対空ミサイル
「ミサイルが激突すれば爆発するはずだ」とどなたかがコメントしていたようですが、衝撃を受けるたびに爆発していたのでは、戦闘機が事故や不時着を起こすたび大爆発、下手したら基地内や、空母の甲板上で核爆発が起きていたでしょうね。
ミサイルの爆発は簡単に言えば起爆装置が制御しています。この感応精度を上げれば理論上は当然爆発しやすくなりますが、アニメの世界と違って、基地をスクランブル発進した戦闘機が必ずミサイルを発射して帰ってくるわけではありません。戦時中でなければ、多くの場合にミサイルを搭載したまま帰還するでしょうし、発射されなかったミサイルは地上で再び整備を受けなければなりません。
ミサイルは戦地を飛ぶことよりも、自軍の管轄内に存在していることの方がはるかに多いですし、爆発物としてのミサイルを整備するのは自軍の整備兵です。現実の軍事では、武器の取り扱い事故を減らさなければならないという、極めて泥臭い問題も抱えています。ですから、起爆装置の感応精度が有る程度の範囲に制限されるのは当然のことです。「ぶつかりゃ大爆発」なんていうミサイルは、危なっかしくて、おそらくどこの軍隊でも採用されないでしょう。
感応精度に制限がかかる以上、起爆に至らない不発弾の問題も当然発生してきます。
「不発率(ふはつりつ)」という言葉があります。打ち出したミサイルや魚雷の内、どれくらいの割合で不発になるのかを表す数字です。相手戦力を測定する上で重要な情報となりますから、公表されることはまずありません。第2次世界大戦中の魚雷の不発率については、米軍が公表したデータを見た記憶がありますが、確か、9割以上不発だったはずです。まさしく「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」のレベルです。
B氏が入手した軍事情報によると、米国の巡航ミサイル「トマホーク」の不発率も湾岸戦争当初は9〜8割のレベルだったが、戦争末期になってやっと5割以下のレベルになったとのこと。2発打ち込めば1発が起爆。B氏によると、それでもかなり性能がいい方だそうです。
1980年代のミサイル技術の集大成である巡航ミサイルですらそのレベルですから、当時の一般の戦闘機が搭載している空対空ミサイルの不発率も、最も良くて5割程度とみなすべきでしょう。
■そして123便の場合
以上の点から、大型民間航空機である123便を戦闘機が狙ったとしたなら、撃ち落すためには装備しているミサイルを全弾を打ち尽くすくらい発射するでしょうし(4発以上)、また、その内の半分は不発弾として残っている確率が高いと予想されるのです。
そして、実際に不発弾は残っていたのです。
FILIOLI CUSTODITE VOS A SIMULACRIS
管理者
その前に、私の複数の友人から「ミサイルを喰らっても旅客機が簡単に落ちないことを初めて知りました」との感想をいただき、多くの人にとって、「ミサイル」という言葉に対するイメージが間違って与えられていることを知りました。これから「ミサイル」に関する議論を進める上で、この認識が誤っていると誤解を生む原因となりますので、くどくなりますが「ミサイル」というものの実際について、少し補足を加えたいと思います。
■大韓航空機に見るミサイル攻撃の実際
国際軍事評論家のB氏によると、現実を知る上で最もわかりやすい実例は、1978年に起きた、大韓航空007便によるソ連領空侵犯事件だろう、とアドバイスを受けました。この事件は、大韓航空のボーイング707がソ連領ムルマンスクの上空を侵犯し、ソ連超地内の氷河湖に不時着したというものです。同機はソ連空軍機のミサイル攻撃を受けたのですが、それもB氏の入手した情報によると4,5発命中したらしいのですが、1人の犠牲者も出さず不時着に成功しています。
ミサイル攻撃を受けていたことは最近になって公表されましたが、それに関する報道記事があったので下記に引用します。、
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【78年の旧ソ連不時着大韓航空機、ミサイル攻撃受けた】
1978年に旧ソ連領空を侵犯し、ムルマンスクに強制着陸した大韓航空(KAL)ボーイング707旅客機は、2度にわたりミサイル攻撃を受けていたことが、27日、明らかになった。
KAL707機は4月21日、乗務員と乗客110人を乗せてパリを出発し、ソウルへ向かう途中、北極航路を離脱した後、ムルマンスク南200マイル地点の湖面に非常着陸した。 当時、ソ連戦闘機の機関銃警告射撃だけを受けた、と知られてきた。
(以下略)
中央日報(日本語版) 2005.6.29
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=65080&servcode=400§code=400
-----------------------(ここまで)-----------------------
写真1:大韓航空のB707機(写真は貨物機)
ちょっと恐かったですが、安いので貧乏旅行にはよく使っていました
1983年のサハリン沖領空侵犯事件といい、大韓航空による旧ソ連領内のスパイ活動は軍事関係者の間で有名ですが、それは本題ではないので、まずは、ミサイル攻撃を受けたところで大型民間機は簡単に撃墜されないという事実にご注目ください。
■半分不発は当たり前の空対空ミサイル
「ミサイルが激突すれば爆発するはずだ」とどなたかがコメントしていたようですが、衝撃を受けるたびに爆発していたのでは、戦闘機が事故や不時着を起こすたび大爆発、下手したら基地内や、空母の甲板上で核爆発が起きていたでしょうね。
ミサイルの爆発は簡単に言えば起爆装置が制御しています。この感応精度を上げれば理論上は当然爆発しやすくなりますが、アニメの世界と違って、基地をスクランブル発進した戦闘機が必ずミサイルを発射して帰ってくるわけではありません。戦時中でなければ、多くの場合にミサイルを搭載したまま帰還するでしょうし、発射されなかったミサイルは地上で再び整備を受けなければなりません。
ミサイルは戦地を飛ぶことよりも、自軍の管轄内に存在していることの方がはるかに多いですし、爆発物としてのミサイルを整備するのは自軍の整備兵です。現実の軍事では、武器の取り扱い事故を減らさなければならないという、極めて泥臭い問題も抱えています。ですから、起爆装置の感応精度が有る程度の範囲に制限されるのは当然のことです。「ぶつかりゃ大爆発」なんていうミサイルは、危なっかしくて、おそらくどこの軍隊でも採用されないでしょう。
感応精度に制限がかかる以上、起爆に至らない不発弾の問題も当然発生してきます。
「不発率(ふはつりつ)」という言葉があります。打ち出したミサイルや魚雷の内、どれくらいの割合で不発になるのかを表す数字です。相手戦力を測定する上で重要な情報となりますから、公表されることはまずありません。第2次世界大戦中の魚雷の不発率については、米軍が公表したデータを見た記憶がありますが、確か、9割以上不発だったはずです。まさしく「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」のレベルです。
B氏が入手した軍事情報によると、米国の巡航ミサイル「トマホーク」の不発率も湾岸戦争当初は9〜8割のレベルだったが、戦争末期になってやっと5割以下のレベルになったとのこと。2発打ち込めば1発が起爆。B氏によると、それでもかなり性能がいい方だそうです。
1980年代のミサイル技術の集大成である巡航ミサイルですらそのレベルですから、当時の一般の戦闘機が搭載している空対空ミサイルの不発率も、最も良くて5割程度とみなすべきでしょう。
■そして123便の場合
以上の点から、大型民間航空機である123便を戦闘機が狙ったとしたなら、撃ち落すためには装備しているミサイルを全弾を打ち尽くすくらい発射するでしょうし(4発以上)、また、その内の半分は不発弾として残っている確率が高いと予想されるのです。
そして、実際に不発弾は残っていたのです。
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フォークチューブの地形、以下のような感じです。
http://www.asyura2.com/bigdata/up1/source/10069.jpg
http://www.asyura2.com/bigdata/up1/source/10074.jpg
あたりになります。何で、エンジン圧縮器ブレードに管が突き刺さっているのか。
な感じで出ています。
ボーイング707型 機体番号HL-7429の写真です。
http://englishrussia.com/?p=1961