国土交通省の桝野龍二・自動車交通局長に、新型プリウスのリコールを届け出るトヨタ自動車の横山裕行常務役員(中央)=9日午後1時20分、東京・霞が関、戸村登撮影
トヨタがリコールを届け出た新型プリウス
トヨタ自動車は9日午後、ハイブリッド車「プリウス」など4車種計約22万台のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。ブレーキ制御システムの一部を修正し、「ブレーキが瞬間的に利かなくなる」とされる現象に対処する。
午後1時20分、国交省を訪れたトヨタの横山裕行常務役員は「お客様の安全を最優先し、リコール実施を届け出ることを決意した。信頼回復に努力する」とリコールの関係書類を提出。対応した桝野龍二自動車交通局長は「市場措置を迅速、確実に実施し、安全第一の観点から的確な対応を」と指示した。
リコールは、昨年5月に発売された新型プリウスのほか、同じブレーキシステムを持つ「SAI」、「レクサスHS250h」、プリウスのプラグインハイブリッド車が対象となる。プリウスなどは米国など約60カ国・地域で販売され、海外でも同様の対応をとる。トヨタは当初、欠陥性を否定し、「サービスキャンペーン(自主改修)」で対応する方針だったが、日増しに大きくなるユーザーの不安を解消するため、道路運送車両法に基づく厳格なリコール手続きを選択した。
どちらも無償で修理する点は同じだが、リコールは保安基準不適合やその恐れがある場合に実施するため、「欠陥車」とのイメージと結びつきやすく、メーカーは敬遠しがちだ。一方の自主改修は、安全上の問題はないが品質保持のためにメーカーが自主的に行うもので、リコールのように国交省のホームページなどで公表されない。またリコールの場合、メーカーは改修状況を3カ月ごとに、同省に報告する義務もある。
トヨタは米国で、フロアマットやアクセルペダルをめぐる大量リコール問題を抱え、10日(現地時間)に米議会で公聴会が予定されている。「安全問題にルーズ」との心証を持たれないためにも、新たに浮上したブレーキ問題について、公聴会前に厳格な対応をとっておく必要があったとみられる。
今回のリコールで実施されるのは、滑りやすい路面で作動するアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)のコンピュータープログラムの修正。ユーザーは、ダイレクトメールなどに従って販売店に車を持ち込む。作業は、順調なら30分程度で済む見通しという。(佐々木学)