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新型プリウス、ブレーキ苦情が米で102件 日本でも

2010年2月3日3時4分

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 トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」で、ブレーキの苦情が米国で多発していることが2日、分かった。米高速道路交通安全局(NHTSA)によると、多くは、滑りやすい路面などを低速で走っていると、1秒前後、ブレーキが利かなくなるというもの。米国で2日までに102件、日本でも昨年末までに2件の苦情が当局に寄せられ、トヨタは「苦情は把握しており、事実関係を確認中」(広報部)としている。

 苦情が多いのは、新型プリウス(2010年モデル)。昨年5月以降、日米で発売された最新型で、いずれも日本で生産している。

 苦情は、低速で道路のくぼみや滑りやすい路面を通過する際、瞬間的にブレーキが利かなくなるというものが目立つ。時速20キロでも1秒間で5メートル以上進むため、「前の車にぶつかった」「横断歩道で止まれない」などの苦情が出ている。ただ、踏み続ければ、ブレーキは利くようになる。

 NHTSAによると、ブレーキの問題で、追突などの事故も4件が報告され、このうち2件は運転者がけがをした。ブレーキ関連の苦情は、旧型プリウス(09年モデル)やカローラ(10年モデル)でもあるが、それぞれ7件にとどまる。新型プリウスへの苦情の多さが際立ち、NHTSAは「事態の推移を注視している」としている。

 国土交通省にも、苦情が寄せられているが、事故やけが人の報告はないという。

 原因については、自動車の専門家の中には、ブレーキの制御にあるという見方がある。モーターとエンジンを併用するハイブリッド車は、通常の油圧ブレーキに加え、回生ブレーキを備えている。走る力でモーターを回転させ、減速しながら発電と充電をする仕組みだ。専門家らは、回生ブレーキと油圧ブレーキの切り替えに、何らかの問題がある可能性を指摘している。

 トヨタは、ブレーキ問題でのリコール(回収・無償修理)については「現時点ではコメントする段階にない」(広報部)としている。

 新型プリウスは、燃費の良さと最低205万円という価格が受け、09年6月から日本国内の販売台数で首位を独走している。09年の販売台数(旧型を含む)は、日本で前年比3倍弱の約20万台。米国も約14万台が売れた。

 トヨタの世界的な大規模リコールの中には、旧型プリウスも含まれる。アクセルペダルがフロアマットにひっかかり戻らなくなる問題だが、ブレーキでも安全性に疑問符がつけば、トヨタブランドに深刻なダメージを与える恐れがある。

〈自動車評論家の国沢光宏氏の話〉新型プリウスのブレーキのトラブルは、私にも10件以上寄せられている。ブレーキが利かない時間は長くても1秒ほど。さらにペダルを踏み込めば回復するようだ。ブレーキ制御の問題だろう。これで環境性能に優れたプリウスの評価が変わることはないが、早く改善した方がいい。

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