【ニューヨーク=丸石伸一】トヨタ自動車は1日、アクセルペダルの不具合による大規模リコール(回収・無償修理)で、米国で対象となった8車種の約230万台について、ペダルを改修する改善策を決めた、と発表した。今後生産する車は、設計し直した新品のペダルに切り替える。一連の対応が整い次第、一時中止している販売と生産を再開する。
米販売子会社のジム・レンツ社長は同日の声明で「リコールで心配と不便をおかけしているのは残念。全力をあげて早期に改善措置を実施する」と釈明した。
アクセルペダルの改修は、ペダルの根元に金属製の板を取り付け、ペダルの摩擦を減らして動きやすくする。すでに全米の販売店に配布を始めており、顧客が持ち込んだ対象車を今週から改修できるようにする。販売店によっては24時間態勢で改修に応じるという。1月26日からの販売中止に伴い、販売店で在庫になっているリコール対象車も同様の改修を行う。
また、今後生産する対象車は新たに設計し直したペダルを使う。従来と同様、米部品メーカーCTS製だという。
トヨタは当初予定通り、1日から北米5工場でリコール対象車の生産停止に入った。具体的な生産や販売の再開日はまだ決まっていないが、生産は8日の再開を目指し、停止期間を1週間にとどめたいとしている。
CTS製のアクセルペダルの不具合によるリコールは、米国以外でも欧州で最大180万台、カナダで約27万台、中国で約7万5千台と主要国に広がっている。各国でも順次、米国と同様の改善策を実施する方針。日本では、もともと問題のないペダルが使われていたため、リコールの対象外となっている。
トヨタは今回改善策を発表したリコール以外でも、フロアマットがずれてアクセルペダルに引っかかり、ペダルが戻せなくなるおそれがあるとして、米国内で計535万3千台をリコールしている。今回改善策を実施する230万台の多くは、このリコールの対象車にもなっている。
相次ぐ大規模リコールで、米国内ではトヨタへの批判が強まっている。米議会下院の二つの委員会は今月、それぞれトヨタの幹部らを呼んで公聴会を開き、原因などを究明する予定。トヨタも調査に協力する方針を表明している。