【ニューヨーク=丸石伸一】トヨタ自動車は21日、アクセルペダルに不具合があるとして、米国で販売した乗用車「カローラ」など8車種の計約230万台をリコール(回収・無償修理)すると発表した。昨年実施した426万台に続く大規模リコールは米国でも異例。今回対象になった北米生産車と同じ部品(アクセルペダル)は、日本で売られた車には使われていないとしているが、米国を中心に品質への信頼が大きく揺らぐ恐れがある。
トヨタによると、アクセルペダルを踏んだ後、緩めようとしてもペダルが戻らなかったり、戻り方が遅かったりする場合があるという。また、ペダルを踏んでも十分に踏み込めない場合もあるという。
車の使用頻度が高く、アクセルペダルの根元がすり減った車で、起きやすい。修理などの具体的な対応は今後決める、としている。
トヨタの説明では、昨秋に顧客から指摘され、調査を始めたという。同じような指摘は全米でこれまで13件あった。人身事故や物損事故につながった例はないという。
対象車種は、いずれも北米で生産されたもので、主力乗用車「カムリ」(2007〜10年モデル)やスポーツ用多目的車(SUV)「RAV4」(09〜10年モデル)など計8車種。車種ごとの台数は明らかにしていない。
今回対象になった北米生産車と同じ部品が、欧州で生産された車にも一部使われており、欧州でも顧客から同じような指摘が26件寄せられているという。欧州ではまだリコールの発表はなく、「現在対応を検討中」(広報)という。
トヨタは昨年9月、運転席に敷いたフロアマットがずれてアクセルペダルが引っかかり、ペダルを戻せなくなる恐れがあることを発表。レクサス車が暴走して死亡事故が起きたのがきっかけだった。最終的には昨年11月、米国で販売した計426万台をリコールした。アクセルペダルを短くカットしたり、床を低くしたりする改修を実施している。
以前から問題視されていたアクセルに、フロアマットと関係ない新たな不具合が見つかったことで、米国の消費者のトヨタ車への視線がさらに厳しくなりそうだ。
今回の対象車のうち、昨年のリコールでも対象になった車は約170万台あるという。ただ、今回発表したリコールは、昨年のリコールとは原因が違う。このため、アクセルペダルのカットなど昨年のリコールに対する改修を行っても、今回の不具合は解消されず、新たな対応が必要になるという。