最終更新: 2010/02/13 20:12

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救える命が奪われている母国を救いたいと来日したイラク人医師の夫妻を取材しました。

救える命が奪われている母国を救いたいと来日したイラク人医師の夫妻を取材しました。
混乱が続くイラクでは、医療に必要な薬などが慢性的に不足し、本来救えるはずの命が日々、奪われているといいます。そんな母国を救いたいと、来日したイラク人医師の夫妻を取材しました。

川崎協同病院で、日本人医師の指導のもと、子どもの聴診実習を行うイラク人小児科医のアンマールさん(30)。
アンマールさんは、日本の医療技術を学び、イラクの子どもたちの命を救いたいと、妻のイラク人産婦人科医、シェイマさん(29)とともに、1月8日に来日した。
アンマールさんは「患者への対応法を学んだり、赤ちゃんを感染症から防ぐための、多くの技術を見学したりしています」と話した。
2003年の戦争で破壊されたイラク国土。
その後も自爆テロが相次ぎ、医療環境は、いまだ復旧にほど遠い状態となっている。
シェイマさんは「医療に関する何もかもが足りません。毎日2〜3人の幼い命が失われています」と語り、アンマールさんは「300床以上あった病院のベッドが、戦争で破壊され、半分以下になってしまいました」と語った。
2人が勤務するイラクのラマディ母子病院では、医薬品が慢性的に不足し、消毒器や血圧計などは、壊れて使えなくなっているという。
午前9時、アンマールさんは、小児病棟の回診に同行した。
アンマールさんは、日本での医師免許を持たないため、診療行為は行えないが、医師の指導のもとで実習を繰り返す。
その後、イラクで増えている感染症などの発見に役立てるため、顕微鏡を使って血液の検査方法を学習する。
そのころ、シェイマさんは、妊婦のエコー検診を見学し、最新機器を使った検査を食い入るように見つめていた。
病院側も、イラクの人たちの役に立つならと、アンマールさんたちを快く受け入れた。
川崎協同病院の佐々木 秀樹医師は「今の向こう(イラク)の状況を考えて、基礎的な素養をつけてもらいたいな」と話した。
午後2時、この日の実習を終えた夫婦は、保育所に預けていた2人の子どもとともに帰宅した。
家に着くと、アンマールさんは、イラクで暮らす兄に電話した。
遠く離れた家族と、毎日連絡を取っているアンマールさん。
日本という異国の地で頑張れるのは、家族の応援があってこそだという。
2人は、川崎協同病院であと1カ月、日本の医療技術を学び、3月13日にイラクに帰る予定。
アンマールさんは「(今回の経験は、イラクで生かせそうですか?)もちろん! イラクにない機器(の使い方)以外はね。経験だけは、伝えられますから」と話した。

(02/13 20:12)


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