何ぞこのタイトルw
ネットをざっと眺めてると、Amazon Kindleの登場時みたいに頭ごなしに否定する論調はなさげです。何だかんだで売れてるそうですし。
アマゾン71%増益、キンドル貢献か(1/29 AFP)

「なぜ日本で電子書籍が普及しないのか」「なぜ日本のメーカーはKindleやiPadのような製品を作れないのか」と問われれば、やはり再販制度が大きな原因ということになるのでしょう。唯一の要素とまでは言えなくても、かつての失敗のトラウマは大きいはず。[※]
2007年12月09日 Amazon Kindleは電子書籍コンソーシアムの屍を越えるか
実験の途中で、出版社側はロイヤリティ収入だけでは、紙の本ほどの利益がもたらされないことに気付いたのである。電子辞書の教訓もある。電子辞書が普及してくるともに、紙の辞書が売れなくなってきていた。電子書籍が普及したからといって、それを担うのは出版社であって、経営者も編集者もなくなることばないのだが、分からないだけに不安が膨らみだしたのである。

しかも電子書籍には価格の維持を定めた再販制度の効力が及ばない。ネット上に乗ったとたん、自由価格になってしまう。だから安い。これが紙の本の価格にまで波及しないという保証はないかもしれない。出版業界は次第に後ろ向きになっていった。

結果的には、コンソーシアムをそのままの形で引き継いだ会社は立ち上がらなかった。実験が進むにつれて、出版社側か渋る姿勢をみせて、会社を立ち上げる出版社側の足並みが乱れてしまったのである。

これにはNTTも、メーカーも驚いた。会社設立に向けて資金を準備していた企業もあり、メーカー側は大いに期待していたし、やる気だった。
「このプロジェクトは、もともと出版業界が言い出したことじゃないか、いまさらなぜ手を引こうとするんだ」

メーカー側と出版社側に大きな溝ができてしまった。

―――横山三四郎『ブック革命』(日経BP社、2003年)より

事態は現在も全然変わっていない。
【元麻布春男の週刊PCホットライン】 日本で電子ブックを成功させるには(2010年1月13日)
 ではどうして電子ブックを販売できなかったのだろう。筆者は、再販制度のせいではないかと考えている。わが国では書籍や新聞は再販制度により、一定の価格が維持されている。しかし、デジタルコンテンツである電子ブックに再販制度を適用するのは難しそうだ。独禁法の適用除外である再販制度を拡大することは、原則的にないと思われるからだ。

 同じコンテンツを、再販制度下の書籍と、自由価格の電子書籍の両方で売ることは、一物二価の批判を受けるだろう。そして、もし書籍流通の主流が電子コンテンツになってしまえば、それは再販制度の放棄にほかならない。
多くの出版社がそれを望まない限り、わが国で本格的に電子書籍や電子新聞が流通することはないだろうし、それを利用するための電子ブックリーダーがベストセラーになることはないのではないかと思う。

 だが、はたしてこれで本当に大丈夫なのだろうか。出版物の売り上げはずっと低落傾向にある。出版業界は、出版不況だというが、出版不況だと嘆けば出版物の売り上げが回復するわけではないし、ただジッと待っていても歯止めはかからない。新しいことにチャレンジしなければならない時にきているのではないか。

iPadは「出版のユニクロ」の出るチャンス 池田信夫(2010年02月03日)
 このように問屋が価格をコントロールする定価販売システムでは、小売店にはリスクはないが、価格競争でもうけるリターンもない。これはユニクロ(ファーストリテイリング)の登場前の衣料品業界と似ている。ユニクロの柳井正社長は、このように「小売店を生かさぬよう殺さぬよう」利用するシステムでは成長できないと考え、製造直販に踏み切った。在庫リスクを取ることによって、利益も100%取るシステムを構築したのである。

 iPadが売れても、こうした古い流通機構が変わらない限り、日本では電子出版は困難だろう。書籍流通については公正取引委員会も問題視し、過去に何度か内偵が行われたが、結果的には立件に至っていない。返品も原価率も取次が強制したものではなく、他の問屋を使うのは出版社の自由だ、というのが取次側の主張である。しかし日販・東販のシェアは合計80%で、この2社に取り扱ってもらえなければ、ほとんどの出版社はやっていけない。これは取次の「優越的地位の濫用」にあたる疑いも強い。

 再販制度が残っているのはもう新聞・出版と音楽CDだけだが、公取委が調査すると新聞業界が「活字文化があぶない」などとヒステリックなキャンペーンを繰り広げて再販を守ってきた。出版のような弱小業界で旧態依然たる流通機構が残っているのは、マスコミの政治力のおかげなのだ。しかし音楽産業で証明されたように、電子流通によって古い流通が「中抜き」される運命は避けられないし、避けるべきではない。流通業者が電子流通を妨害することは消費者の迷惑になるばかりでなく、流通機構の改革を遅らせ、アップルやアマゾンのような外部の業者に主導権を握られる結果になる。

日本の出版社も「黒船来航」で慌てて群れているようですが、、、
電子書籍化へ出版社が大同団結 国内市場の主導権狙い(1/13 朝日)
 講談社の野間省伸(よしのぶ)副社長は「経済産業省などと話し合い、デジタル化で出版社が作品の二次利用ができる権利を、著作者とともに法的に持てるようにしたい」との考えだ。新潮社の佐藤隆信社長は「出版社の考えが反映できる場を持つことで国内市場をきちんと運営できる」と語る。

(・∀・)カエレ! 欠陥本を平気で出すような出版社などお呼びじゃない。「電子書籍が普及しても、すぐれた編集能力をもつ出版社の役割は不滅」みたいなぬるい議論もありますが今だって著作者から不満がでてるし、読者も定価に見合わない内容に愛想を尽かしてる(だから売れないんでしょ)のに何を甘ったれてるのか。

海の向こうでiPadが話題になる頃、日本の出版業界は何をしてたかというと。

祖師谷の小さな本屋さん 〜雑感書評:【今週の本】 国民読書年なのに。。。(6冊)
(1)国民読書年に関する国会決議を重く受け止め、読書の大切さを
   広く普及し、言語力の豊かな国づくりをめざす。

(2)「文字・活字文化振興法」並びに「文字・活字文化振興法の施行
   に伴う施策の展開」の具現化に努める。

(3)著作物再販制度を維持し、国民が等しく多種多様な著作物を同一
   価格で享受できる環境を整備する。


(4)著作物など文化的所産に関する税制度のあるべき姿を検討する。

(5)官民の協力のもと、文字・活字文化の記録を保存し、国民がいつ
   の時代にも活用できるよう我国を象徴する書誌データの一元化に
   努める。

(6)国民読書年を機に、政官民の連携で、読書を文化的・科学的に
   研究しダイナミックに世界に発信する。

              活字文化議員連盟の活動計画について

周回遅れどころか、スタートラインにさえ立てないありさまです。何かというと日本企業をガラパゴスと論難するマスゴミ(最近あまり聞かないけど)が一番ガラパゴス状態ですよね。

小沢一郎が議連リストラなどと言ってたのに、小沢の側近中の側近である山岡賢次が活字議連の会長になっているわけだが。それって民主党=小沢支配のもとでは再販存続が確定したといってもよいのでは?
平野貞夫あたりを引用して「民主党政権になれば再販制度が見直される」とか言ってた奴は腹を切って死んでしまえ!
※ソニーの電子書籍はアメリカで売れているそうです。で、
ソニー、日本で電子書籍に再参入 複数の出版社と交渉(09/12/18)
 【ニューヨーク共同】ソニーは17日、現在欧米で展開している電子書籍事業を日本でも展開する方針を明らかにした。ソニーは日本での同事業からいったん撤退しており、再参入の形となる。時期は明らかにしなかったが、複数の出版社と事業展開に向け具体的な交渉を進めているという。

 電子書籍事業は欧米で急速に市場が拡大中。日本でも引き合いが強まっており、出版社などの理解が進んだため再参入する方針を固めた。中国などほかのアジア地域でも事業を進める。

期待は大きいもののまだ難しいようです。
【本田雅一の週刊モバイル通信】 CES 2010における電子ブックの話題、あれこれ(2010年1月15日)
 前出のソニー・野口氏〔ソニーエレクトロニクス副社長、「Sony Reader」担当〕は日本でのSony Reader発売について「日本だけでなく、全地域についてチェック項目を設け、そのチェック項目すべてがOKとなった段階で発売している」と話す。日本の状況に関しては「仮に5つのチェック項目があるならば、まだ2つしかグリーンシグナルは点灯していない。3つ目が点灯すれば、残りも一気にOKサインとなるかもしれないが、現在はとても微妙な時期でコメントできない」(野口氏)。

 ソニーは一度、日本で電子ブック事業を失敗している。それだけに出版社側の協力や新しい流通形態に対する業界全体のサポートが重要であることを骨身に染みているのだろう。「Sony Readerの日本語化は全く難しくなく、今すぐにでもハードウェアは発売できるが、それではダメ。業界全体が納得いく形でビジネスを開始できなければ」と話すように、野口氏は慎重な姿勢を最後まで崩さなかった。

大手がいくつか潰れるぐらい痛い目に遭わないと、出版業界も本腰を入れないんじゃないですか(毒

そして新聞にとっても他人事ではないわけですが。
変幻自在のアップル「iPad」、紙メディアの逆襲始まる 井上理(1/28 日経ビジネス)
 iPad発表イベントで、ジョブズCEOらアップル役員に続いて登壇したのは、米大手紙、ニューヨーク・タイムズでデジタル部門を統括する、マーティン・ニーゼンホルツ副社長だった。

 折しも、紙面広告の落ち込みや購読料の伸び悩みにあえぐニューヨーク・タイムズは1月20日、現在無料で提供しているウェブサイト上の記事に対して、2011年から課金を開始すると発表したばかり。

 この判断に、少なからずiPadの存在が影響していたのだろう。「もうタダはまっぴらだ」と言わんばかりに、紙メディアの逆襲が始まった。

ちょっと浮かれすぎだろう。そんな日経が今春創刊する電子版紙とセットで5300円、単独で4000円というボッタクリ価格らしい。バカなの?死ぬの?<死ね死ね言い過ぎ

あとはiPhone版を無料提供している産経新聞がどう出るかが見所ですかね。
まあ絶好調にみえるアップルも、ノキアとのスマートフォン特許訴訟合戦のゆくえが気になるところではありますが。
<2/8 更新>